中国の自動運転競争が人を乗せるロボタクシーから物流を運ぶロボバン(Robovan・無人配送車)へと拡大している。中国ではすでに3万台以上の無人配送車が運行中であるなか、現代自動車の協力会社である中国の自動運転スタートアップ、モメンタ(Momenta)をはじめ、大手プラットフォーム企業までがロボバン事業に参入し、競争が一段と激化している様相だ。

28日、モメンタによると、同社は最近、江蘇省スージョウ市シャンチェングーでロボバン事業を開始した。今月の香港市場上場以降、初めて公開した新規事業であり、同社は物流現場に無人配送車を24時間投入し、都市物流の「ラストマイル(Last Mile)」配送を攻略する戦略だ。

中国の自動運転企業モメンタが運用中のロボバン。/モメンタ提供

モメンタは乗用車の自動運転に適用してきた自社の「R7ワールドモデル(World Model・AIが現実世界の作動原理を学習して未来を予測する技術)」をロボバンにも適用した。とりわけ高精度地図に依存しない「無地図」技術を活用した。同社は今後、1つのワールドモデルを基盤に乗用車とロボタクシー、ロボバン、ロボトラックまで包含する自動運転プラットフォームを構築する計画である。

モメンタ側は「現在、自動運転システムを搭載した量産車両が100万台を超えた」とし、「この過程で確保した120億km以上の実走行データと1億件以上のコアデータを基に配送アルゴリズムを高度化する計画だ」と述べた。

中国の無人配送市場はすでに商用化段階に入った。中国物流購買連合会(CFLP)が最近発表した報告書によると、前年末基準で中国で運行中の無人配送車は3万3000台を超えた。年間出荷量は2024年の6000台から2025年上半期に1万2000台へと急増した。報告書は、2030年に中国の無人配送車の生産・販売量が年間86万台、運行規模は200万台以上へと、より速いペースで拡大すると展望した。

市場の先頭はロボバン専門企業が占めている。中国スタートアップのゼロス(Zelos・九识智能)は今年第1四半期基準で約2万5000台の車両を運用し、市場シェア52%を占めている。続いてネオリクス(Neolix・新石器)が約1万7000台を運用し、30%台のシェアを確保した。

大手プラットフォーム企業も相次ぎ競争に参入している。アリババの物流子会社ツァイニャオ(菜鸟)は今年初め、ゼロスに出資し自動運転事業を統合した。両社は「ツァイニャオ・ロボバン」ブランドを共同運営している。アリババが保有する巨大な物流網とロボバン専門企業の技術力を結合し、事業拡大のスピードを高める戦略だ。ジンドン(京東)とメイトゥアン(美団)も無人配送車の運用を拡大し、関連技術の開発を継続している。

中国のロボバン首位企業ゼロスが量産するロボバンモデル。/ゼロス提供

中国で無人配送の商用化スピードが速まる背景としては、部品価格の下落が挙げられる。中国の経済メディア「21世紀経済報道」によれば、ロボバン量産に使われるライダーの価格は当初の約10万人民元(約2171万円)から現在は数千人民元台まで下がった。これに伴い車両価格も2年間で約80%下落した。

このため現地業界では、乗客を乗せるロボタクシーよりも、定められた路線を低速で運行するロボバンのほうが商用化に有利だとみている。中国の無人配送は、宅配ドライバーが物流拠点でロボバンに荷物を積み、ロボバンが配送エリアまで移動した後、現場の宅配ドライバーが最終配送を担う方式で運用されている。これにより宅配ドライバーの移動時間を短縮し、配送効率を高められる構造だ。

ただし市場がさらに拡大するには規制の改善が必要だとの指摘もある。現在の中国には無人配送車に対する全国単位の製品認証および許可制度が整備されておらず、地方政府ごとに異なる規定を適用している。21世紀経済報道は「これにより企業は新たな都市に進出するたびに個別の運行許可を受けなければならない状況だ」とし、「もっとも今後3年以内に全国単位で統一された標準と認証体制が整備される可能性が大きい」と伝えた。

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