ドナルド・トランプ米国政権が移民に付与された一時保護身分(TPS)を相次いで終了し、米国産業界が人手不足の危機に直面している。
米国では27日(現地時間)からハイチなど複数の国出身のTPS受給者約35万人の就労許可が失効する。エルサルバドル出身の約19万人のTPSも9月に失効する予定である。
TPSは戦争や自然災害などで母国に安全に帰還することが難しい外国人に対し、米国で一時的に居住し就労できるよう認める制度だ。1990年に導入され、現在は100万人以上がこの制度の保護を受けている。
トランプ政権は、TPSが当初の趣旨とは異なり事実上の長期滞在手段に変質したと見て廃止を進めてきた。政権は「法を守り常識へ回帰する措置」だとしてTPS終了方針を擁護している。米連邦最高裁も先月、政権がTPSを終了できるよう認めた。
これにより、米国に居住するエチオピアやミャンマー、ソマリア、南スーダン、シリア、イエメンなど複数の国出身移民のTPSも終了する予定である。出身国によって終了時点は異なる。
しかしニューヨーク・タイムズ(NYT)は、TPS受給者が米国の産業現場で積極的に働いている以上、この地位が揺らげば特定の地域や産業で大きな人員の空白が生じ得ると指摘した。
ペンシルベニア大学の研究陣によれば、TPS受給者の約70%が経済活動に参加しており、主に建設業と医療・介護分野で働いている。ワシントン一帯ではエルサルバドル出身の労働者が米議会議事堂と国防総省庁舎、アーリントン国立墓地などの修繕・管理業務を担ってきた。フロリダとマサチューセッツ、ニューヨークの高齢者住宅施設ではハイチ出身の労働者が高齢者の食事や移動など日常生活を支援している。
超党派の研究機関「ペン・ウォートン予算模型(PWBM)」のアレクサンダー・アノン政策分析局長は「特定の地域と産業で数万人がこれ以上合法的に働けなくなるなら非常に大きな打撃になる」と述べた。
米国の雇用主も被害を被る恐れがある。就労資格を失った移民を継続雇用すれば巨額の罰金を科されたり刑事処罰を受けたりする可能性があるためだ。一部の移民が亡命申請など別の在留資格を得て就労を続ける可能性もあるが、結局は相当数が労働市場から離脱すると予想される。
米国商工会議所をはじめとする経済団体は議会に対策の策定を求めている。米商工会議所は10日、上院指導部に送ったSeohan Engineering & Constructionで「議会が乗り出し、米国労働市場の深刻な混乱と不必要な人道的危機を防がなければならない」と訴えた。
共和党所属のマイク・デワイン・オハイオ州知事も、ハイチ出身移民のTPSを終了するのは誤りだとして、地域経済が大きな被害を受け得ると警告した。