人工知能(AI)業界に「DeepSeek(ディープシーク)ショック」を引き起こした中国AIスタートアップ、DeepSeek(ディープシーク)の創業者、リャン・ウェンフォン(梁文峰)が米中AI競争の核心変数としてグラフィックス処理装置(GPU)などのコンピューティング資源を挙げた。リャン・ウェンフォンはエヌビディアのAIチップ生態系の独占力が次第に揺らぎ、中国のAIチップ生態系が新たな機会を迎えていると診断する一方、利潤最大化よりも汎用人工知能(AGI)の開発を最優先目標とする方針を明らかにした。
24日、中国の経済メディアである第一財経によると、DeepSeek(ディープシーク)は最近、初の外部資金調達を終えた。リャン・ウェンフォン本人をはじめ、中国ビッグテック(大手テック企業)のテンセント(腾讯)、電池メーカーのCATL(寧徳時代)などに加え、民間投資会社や政府系ファンドが参加した。リャン・ウェンフォンは約4時間にわたる投資家ミーティングで、会社の経営哲学とAGI戦略、コンピューティング資源の確保計画などを詳しく明らかにした。
◇ 「エヌビディア生態系の独占力が揺らぐ」…中国AIチップ生態系に自信
流出した録音記録によると、リャン・ウェンフォンは米中AI競争で「埋めるのが極めて難しく見える格差」としてコンピューティング資源を挙げ、技術的な方向性はすでに把握しているものの、コンピューティング資源の不足で一部の研究を先送りせざるを得ない場合も少なくないと語った。続けて「今年は非常に攻勢的に演算能力を拡張し、現在およそ2万個のエヌビディアH100チップを保有している」とし、今後も可能な限り多くの物量を確保する計画だと述べた。
リャン・ウェンフォンは、今後自社の大規模AIクラスターを構築する計画だとも述べた。ただし自社でAIチップを開発するかどうかについては「合理的な価格でチップを購入できるなら、直接チップを作る必要はない」として、経済性を基準に判断する考えを示した。
米国の対中半導体輸出規制で注目されている中国製AIチップについては、楽観的な見通しを示した。エヌビディアはGPUなどのハードウエアだけを販売するのではなく、早くから専用ソフトウエア開発プラットフォーム「CUDA(クーダ)」を構築し、エヌビディア生態系を形成してきた。このため競合がエヌビディアのハードウエア性能に追いついても、ソフトウエアと開発者生態系まで代替するのは難しく、エヌビディアの市場支配力が維持されている。
しかしリャン・ウェンフォンは「AIを活用して新たな生態系を構築できるようになり、エヌビディアCUDAの独占力は急速に崩れつつある」とし、「今後1年以内に中国製チップの生態系にも何ら問題がないことが立証されるだろう。中国製AIチップは歴史的な機会を迎えた」と評価した。あわせてファーウェイのAIチップ生態系に深く参画する計画を明らかにした。ただし、不足する生産能力は限界だと指摘した。
◇ 最優先目標はAGI…「利用者獲得・利潤最大化の競争はしない」
リャン・ウェンフォンは、会社の最優先目標は利用者獲得競争ではなくAGI開発だと重ねて強調した。AGIはAIが特定分野に限定されず、利用者の「完璧な」プロンプトがなくても人のように自律学習する能力を備え、人間が遂行できるあらゆる知的作業を実行できるAIを指す。
リャン・ウェンフォンは、昨年の春節(中国の旧正月)期間にDeepSeek(ディープシーク)が予想外の関心を集めた当時も、利用者の囲い込みや消費者向けサービスの拡大に注力しなかったとし、「AGIの機会は非常に大きく、目の前の多くの機会は小さな事にすぎない」と述べ、「スーパーアプリになって誰かと競争し、第2のバイトダンスやテンセントになる考えは全くない」と語った。
リャン・ウェンフォンは、オープンソースと低価格戦略を維持する方針も明確にした。そもそもAI市場は独占が不可能であるため、利潤最大化のためにクローズド戦略を堅持するより、オープンな生態系を育てる方が生存に有利だということだ。リャン・ウェンフォンは「競合のアリババ、Zhipu、Moonshot AIなどを支援する意思が非常に強い」と述べ、今後公開する最も性能の高いモデルもオープンソース方式を採用する可能性が高いと明らかにした。
続けてリャン・ウェンフォンは、AI市場が長期的には世界の国内総生産(GDP)の10%に達するほど巨大な市場になり得るとし、「利潤を最大化しようとするなら利用価格を2倍に引き上げることもできるが、DeepSeek(ディープシーク)の目的は最も多く稼ぐことではなく、誰もが安価で高性能のサービスを利用できるようにすることだ」と述べた。
リャン・ウェンフォンは、API価格もサーバー投資費用を約10カ月で回収できる水準で十分だとして、合理的な水準の利益のみを追求する方針を示した。続けて「値下げの余地は依然としてある」と付け加えた.