中国が人工知能(AI)を新たな外交カードとして持ち出した。米国が先端半導体とAI技術の統制で中国をけん制する状況で、開発途上国を中心にAI技術と人材育成を支援し、別個の国際AI協力体制の構築に乗り出したということだ。過去に一帯一路でインフラを前面に出して影響力を広げたのに対し、今はAIを新たな外交資産として活用してグローバルな影響力を拡張しようとする動きだという分析も出ている。
23日(現地時間)フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、習近平中国国家主席は先週上海で開かれた世界人工知能大会(WAIC)でAI国際協力の拡大を核心課題として提示した。中国はこの場でブラジル・ロシア・インドネシア・南アフリカ共和国などを含む29カ国が参加する世界AI協力機構(WAICO)の発足を発表し、国際AI応用協力センターの設立と開発途上国向けAI人材育成計画も公開した。
このように中国が国際舞台でAI協力を前面に掲げた背景には、米国との技術競争が長期化するなかで開発途上国を新たな協力対象として確保しようとする戦略がある。米国は先端半導体の輸出規制と先端AI技術の統制を通じて中国のAI競争力を制限している。これに対し中国は、相対的に活用コストが低いオープンソースAIモデルと政府支援を前面に出し、AIインフラが不足する国々を攻略している。
FTは中国がAIを単なる産業競争力の確保ではなく外交資産として活用しようとしていると分析した。過去に一帯一路を通じて鉄道や港湾、発電所など物理的インフラを構築して影響力を拡大したのと同様に、今後はAIモデルやコンピューティング技術、教育プログラムなどを提供し、長期的な協力関係を構築しようとしているということだ。
中国は今後、アセアン(ASEAN)やアフリカ連合(AU)、アラブ連盟(LAS)、ブリックス(BRICS)などを対象にAI応用協力を拡大し、今後5年間にわたり開発途上国の人材を対象にAI教育・研修プログラムも運営する計画である。これにより、中国製AI技術の活用度を高めると同時に開発途上国のAI活用能力を拡大するだけでなく、国際AIガバナンスの議論でも影響力を拡大するという構想だ。
とりわけAI技術競争の重心が技術開発を超え、国際AI規範・標準をめぐる競争へと拡大するなかで、中国もAI外交を基盤に関連する規範と標準の議論で影響力を高めようとする歩みを続ける見通しだ。業界では中国がAI分野でも米国とは異なるアプローチを選んでいると見ている。米国が先端技術へのアクセスを制限することに焦点を当てているのに対し、中国はAI技術のアクセス性を高め国際協力を拡大する戦略で開発途上国との協力を強化しようとしているということだ。
アジアグループ(Asia Group)デジタル部門の共同代表であるジョージ・チェンは「WAICOは中国技術とオープンソースAIモデルを開発途上国に普及させる非常に良いプラットフォームになるとみられる。開発途上国に非常に良い『プランB』を提示した格好だ」と述べ、「中国が究極的に望むのは、世界の多数が米国の技術ではなく中国の技術に依存するようにすることだ」と語った。インターコネクテッド・キャピタルの創業者であるケビン・シューは、中国のオープンソースAIモデルと米国のクローズドAIモデルがアンドロイドとアップルiOSの競争構図に似た市場を形成すると予想した。