マルコ・ルビオ米国務長官と王毅中国外交部長が習近平中国国家主席の9月訪米を前に会談するなか、中国の官製メディアが米国の人工知能(AI)戦略を「核兵器」、中国のAI戦略を「原子力エネルギー」にたとえ、対中技術封鎖を正面から批判した。9月に初の米中AI公式対話を控え、中国がAI競争を「開放対封鎖」の構図と位置づけ、米国にAIの開放と協力を促している格好だ。
中国共産党機関紙の人民日報系である環球時報は22日夜、「原子力エネルギーなのか、核兵器なのか。米中AI競争の本質は何か」と題する社説で、米国と中国がAIを捉える視点自体が根本的に異なると主張した。
社説は、米国が最先端AIを「核兵器」のように必ず独占すべき戦略資産であり覇権競争の手段として認識していると指摘した。社説は「米国は先端AIが圧倒的な軍事・経済・情報の優位をもたらすと見ている」とし、「この思考様式は先端AI半導体の輸出統制、AIモデルへのアクセス制限、オープンソースへの警戒などにつながっている」と述べた。
一方で中国は、AIをリスクを管理しつつも広く活用すべき「原子力エネルギー」と見なしていると強調した。社説はAIを「人類が共有すべき公共財であり共同繁栄のための道具」と定義し、技術を封鎖するのではなく国際標準と技術共有、安全規制を通じて共に管理していくべきだと主張した。続けて、中国がAI分野で「公共財の提供者」を自任しているとして、MoonshotAIの「Qiming K3(キミK3)」など中国の大規模言語モデル(LLM)のオープンソース戦略を代表例として挙げた。社説は「これは技術の戦略的価値を理解していないからではなく、より多くの開発者が活用し改善するほど、より多くの人が恩恵を享受できるためだ」と述べた。
社説はまた、米国の対中技術規制がむしろ逆効果を生んだと主張し、「米国の技術的障壁は中国を阻めておらず、米国自身も技術を開放すれば中国に追い抜かれるのではないかと懸念し、封鎖を続ければ国際社会で孤立するのではないかと憂慮するジレンマに陥った」と評価した。
今回の社説は、米中両国が9月に初の「AI会談」を進めるなかで出てきた。ロイター通信によると、両国は最先端AIモデルの安全性と軍事的活用、サイバー脅威、ガバナンスなどを議論する予定だ。米国は中国AIモデルによる自国AIモデルの知的財産権(IP)侵害の可能性と技術流出の問題を主要議題としており、中国はAI規範と技術協力を強調すると同時に、米国の先端半導体輸出統制とAI規制を「技術封鎖」と位置づけている。
前日、ルビオ長官はフィリピンのマニラで王主任と会談後、記者団に対し、習主席の米国訪問が成功裏に行われるよう「多くの話し合いを行った」と明らかにし、米中が国家利益を守りつつも協力可能な分野を見いだし、両国間の意見の相違が制御不能な状態に拡大しないよう管理することが重要だと述べた。