マイクロソフト(MS)がフランスの人工知能(AI)企業ミストラルAI(Mistral AI、以下ミストラル)と組み、欧州現地のAIインフラ協力拡大に乗り出した。ミストラルがフランスに構築するデータセンターとAIモデルをMSのクラウドプラットフォームと企業向けAIサービスに適用し、欧州の企業顧客を攻略する戦略である。

マイクロソフト(MS)のロゴとミストラルAI(Mistral AI)のロゴ。/AFP・聯合ニュース

21日(現地時間)ロイター通信によると、MSはミストラルと数十億ドル規模の協力契約を締結した。これによりMSはミストラルが欧州に構築するAI演算インフラを利用し、ミストラルは自社インフラとAIモデルの販路を拡大することになった。ただしミストラルへの新規持分投資は今回の契約に含まれなかった。

今回の契約でMSアジュール(Azure)顧客は、フランスに構築されたミストラルのAIデータセンターで演算資源を活用してAIソフトウエアを開発できるようになった。米国企業が制御するインフラのみに依存せず欧州現地インフラも活用できるようになったため、データの保存・処理場所と規制順守が重要な産業の需要を狙ったとみられる。ロイターは、今回の契約を通じてMSが欧州内の演算資源を拡大する一方で、金融・公共・医療など規制が厳格な顧客に対してデータを欧州内で処理できる選択肢を提供することになったと伝えた。

ミストラルは生成型AIモデル「ミディアム3.5(Medium 3.5)」と文書・画像認識モデル「OCR 4」をMSのAI開発プラットフォーム「アジュールAIファウンドリー」に供給する。このときミディアム3.5は、企業がAIエージェントを作成する「コパイロットスタジオ(Copilot Studio)」でも利用できる。とくに自社データセンターをMSサービスと接続するアジュールローカル(Azure Local)顧客には、ミストラルのオープンモデルを直接運用できる選択肢も提供される。

両社の協力は欧州で「主権型AI(Sovereign AI)」需要が高まる中で推進された。主権型AIは、データとAIモデル、演算インフラを自国または域内の規制体制の下で統制・運用しようとする概念である。先月米国が自国AI企業Anthropicの先端モデル2種に対する海外アクセスを一時中断し、欧州では外部の政策変化に揺さぶられない自前のAIインフラを構築すべきだという要求が一段と強まった。

ミストラルはOpenAIやAnthropicに対抗する欧州の代表的AI企業とされる。フランスを中心にAIデータセンターを構築しており、製造業と金融サービス、防衛産業分野へ事業を拡大している。2030年までに欧州内のAI演算能力を1ギガワット(GW)規模へ引き上げる計画も立てた。

ブラッド・スミスMS社長は、今回の協力を通じて欧州の顧客が現地インフラでAIサービスを利用できるよう支援すると明らかにした。アルチュール・メンシュミストラル最高経営責任者(CEO)も、今回の契約が自社のAIインフラ拡大戦略を下支えする契機になると述べた。業界では、今回の協力はミストラルには安定的な企業顧客を確保しデータセンター投資を拡大する基盤を、MSには欧州の主権型AI需要に対応する現地演算インフラを提供する点で意義があると評価する。

ただし欧州がAIインフラの自立度を高めても、核心技術で米国企業とのつながりを完全に断つのは難しいとみられる。ミストラルが構築するデータセンターにも米国で設計されたエヌビディアのAI半導体が使用される。このため欧州がデータとAIモデル、データセンターに対する域内統制権を拡大しつつも、核心AI半導体分野では米国企業と協力する構図を当面続ける可能性が高いとの見方が出ている。

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