カナダが米国産の酒と自動車の購入を減らし、輸出先を米国以外へ広げる選択的な脱米国にスピードを上げている。ドナルド・トランプ米国大統領が200億ドル(約29兆5000億ウォン)規模のカナダ産製品に50%の関税を予告した翌日の21日(現地時間)、カナダが英国・イタリア・日本が開発する第6世代戦闘機事業「グローバル戦闘航空プログラム(GCAP)」に初のオブザーバー国家として合流したと、カナダCBCなどが伝えた。
GCAPはすでに完成した戦闘機を選んで購入する単純な調達事業ではない。英国・イタリアが推進していた「テンペスト」と日本の次期戦闘機F-X開発計画を2022年に一本化した共同開発事業である。3カ国は2035年の実戦配備を目標に、機体設計からエンジン・センサー・電子装備、部品生産とサプライチェーン構築までをともに進めている。英国とイタリアのユーロファイター・タイフーン、航空自衛隊のF-2を代替する第6世代戦闘機をつくる大型プロジェクトだ。防衛産業界では、戦闘機1機をつくる事業というより、複数の戦力を束ねる次世代空中戦システムを構築する事業に近いと評価する。
カナダが確保したオブザーバー地位は、正式な共同開発国や購入国になる前に事業構造を見極める立場だ。当面は戦闘機を購入したり開発費を分担したりはしない。ただし、要求性能と開発日程、自国防衛産業企業がエンジン・センサー・ソフトウエア・整備サプライチェーンに参加する余地を検討できる。カナダは以前からプロジェクト参加の交渉を続けてきたが、合流の事実をトランプ関税発表の翌日に公表した。
カナダはすでに米国からロッキード・マーティンのF-35Aステルス戦闘機88機を導入することにしている。ただし最初の16機のみ確定し、残る72機は米国との関係がこじれ始めると再検討している。カナダはF-35契約を直ちに覆すより、防衛調達で英国・イタリア・日本という別の選択肢を公式に開き、米国外の選択肢をあらかじめ確保する方向に動いている。
カナダの消費者は昨年5月にトランプ政権が世界を相手に関税戦争を始めて以降、米国産の酒や米国産自動車といった消費財から敬遠し始めた。
20日、米国はカナダの酒類小売店が米国産の酒を棚から外し、欧州連合(EU)産の乳製品には市場をさらに開放する一方で、米国産自動車にのみ関税と輸入クオータを適用したと主張した。カナダの各州・準州は昨年3月以降、米国産の酒の販売を一斉に止めた。その結果、米国産酒類の輸入額は7億1800万ドルから1億3700万ドルへと1年で81%急減した。米国産の酒が抜けた売り場は他国製品が埋めた。同期間に米国を除く国から輸入した酒類は1億7000万ドル以上増えた。EU産の増加額だけで1億ドルを超えた。チリ・日本・アルゼンチン・アイルランド・オーストラリア産も13〜26%増加した。米国を狙った不買と販売中止が、酒類全体の消費減少よりも輸入先の切り替えにつながったという意味に解釈される。
自動車市場でも同じ潮流が表れた。昨年4月から今年3月まで米国産自動車の輸入額は259億ドルから203億ドルへと22%減った。一方でメキシコ産自動車の輸入は23.6%増えた。米国を除く国から入ってきた自動車の増加額28億5000万ドルのうち、約20億ドルをメキシコが占めた。
その後、輸出を経て政府主導の防衛調達にまで選択的脱米国の範囲が広がった。米国は昨年の対カナダ財貨貿易赤字が464億ドル(約68兆3000億ウォン)に達した。米国はこうした動きを自国製品に対する差別と規定し、20日に再び関税カードを切った。ホワイトハウスは「昨年トランプ大統領の関税に報復した主要な貿易相手は中国とカナダだけだった」と述べた。来月19日から発効する新たな関税措置は、米国が昨年カナダから輸入した全商品のおよそ5.2%に適用される。
輸入代替はカナダ政府が推進する輸出市場の多角化とも重なる。昨年のカナダの対米財・サービス輸出は263億カナダドル(約27兆8000億ウォン)減ったが、非米国向け輸出は333億カナダドル(約35兆2000億ウォン)増えた。総輸出に占める非米国市場の比率は32.8%で、1981年以降45年ぶりに最も高くなった。カナダ政府は2035年までに非米国向け輸出を2倍に増やすとして、バンクーバー港のコンテナ処理能力を50%増やす拡張事業を進めている。この事業は年間1000億カナダドル(約105兆ウォン)規模の新たな貿易を処理することを目標とする。
経済で始まった脱米国は、旅行といった国民の行動や安保政策へと広がった。昨年のカナダ人の米国訪問は2910万件で前年より25.4%減った。一方、米国ではない他国を訪れるカナダ人は9.2%増えた。ピュー・リサーチ・センターの調査で、米国を信頼できる同伴者とみるカナダ人は2022年の83%から今年は35%へと大幅に落ちた。カナダは現在、武器購入予算の約70%を米国産に充てているが、長期的にこの比率をカナダ企業が担うよう自国の防衛産業を育成することにした。今後10年間で防衛の研究開発投資を85%増やし、防衛産業の売上高を240%以上拡大して最大12万5000人の雇用を創出するという目標も示した。
マーク・カーニー首相は今回の関税をめぐり「一方的な米国の通商措置が続いており、3カ国自由貿易協定に正面から違反する」と21日に明らかにした。カーニー首相はその一方で「この紛争はとりわけ米国家計のコストを押し上げた。カナダは未解決の懸案を解くために米国と集中的に交渉する用意がある」と述べた。