米国とイランの武力衝突が全面戦争に発展しかねないとの懸念が高まるなか、カタールやパキスタンなどの仲介国が停戦協議を急いでいる。
21日(現地時間)ロイター通信などによると、カタールは米国とイランに対し10日間の停戦とホルムズ海峡の航行制限解除を提案した。
カタールとともに仲介に乗り出したパキスタンも外交的解決策を模索している。イラン内務相はパキスタンを訪問し、現地当局者らと会談する予定だと伝えられている。
マルコ・ルビオ米国務長官は「イランが仲介国を通じて対話の意向を伝えてきた」と明らかにした。エスマイル・バガイイラン外務省報道官も、仲介国が追加のエスカレーションを防ぐための複数の提案を伝達したと述べた。
しかし米国とイランが新たな停戦案を受け入れるかは不透明である。両国が先月中旬に締結した終戦覚書(MOU)が今月初めに事実上破棄され、交渉の基盤自体が消滅したためだ。
交渉の最大の障害はホルムズ海峡の統制権に対する両国の立場の相違である。MOU締結後、イランが自国の許可なしにホルムズ海峡を通過しようとする船舶を相次いで攻撃すると、米国が反撃に出て、両国の衝突は武力紛争へと拡大した。
報復が繰り返されるなか、双方は互いを信頼できないとしてMOUを事実上廃棄した。
ドナルド・トランプ米大統領は13日、現地メディアとのインタビューで、MOUはイランの交渉姿勢を試すためのものだったが、イランが試験に合格しなかったと語った。
アヤトラ・モジュタバ・ハメネイイラン最高指導者も18日に声明を出し「米国は大統領が署名した文書すら信頼できない国だ」として、MOUの白紙化を宣言した。
米国とイランの協議が事実上振り出しに戻るなか、サウジアラビアとイエメンの親イラン武装勢力フーシ派まで加勢し、事態は一段と複雑化している。
サウジはイランとフーシ派を結ぶ直行路を遮断するため、イエメンのサナ国際空港を爆撃した。フーシ派はサウジ本土を攻撃したのに続き、サウジに対する海上封鎖を宣言した。
これにより、サウジの主要な原油輸出路である紅海入口のバーブ・エル・マンデブ海峡まで封鎖される可能性が生じた。
紅海航路はホルムズ海峡と並ぶ中東の二大エネルギー輸出路である。イランがホルムズ海峡を封鎖した状況では、サウジが原油を輸出できる中核的な迂回路でもある。
フーシ派が紅海航路を脅かせば、ホルムズ海峡封鎖を最後の圧迫手段として活用するイランの地政学的影響力は一段と高まる見通しだ。