シンガポールの国富ファンドであるテマセク(Temasek)が人工知能(AI)関連投資を大幅に拡大する方針だ。AI企業の価値が急速に上昇し投資過熱への懸念が続くなか、データセンターや半導体、クラウドなどAI関連産業全般に長期的に資金を投じる意図である。
8日(現地時間)ロイターによると、テマセクは今後5年間でポートフォリオに占めるAI関連投資の比重を現在の6%から最大15%まで引き上げる計画だと明らかにした。テマセクはChatGPTの開発企業であるオープンAI(OpenAI)とClaudeの開発企業であるAnthropicなどに投資した主要機関投資家の一つで、AIを今後の投資戦略の核心分野とみなしている。
現在テマセクはAI投資対象を特定企業に限定せず、データセンター、半導体、クラウドサービス、AI基礎モデル、ソフトウェアインフラなどへ広げている。AIサービスの拡大に伴い演算需要と電力、サーバー、チップ需要がともに増加するとみて、関連エコシステム全般に投資する戦略である。
テマセクの純ポートフォリオ価値は3月末基準で5180億シンガポールドル(韓国ウォン約603兆ウォン)となり、過去最高を記録した。これは前年同期比10.5%の増加規模である。ただし業界の一部では、AI関連投資の過熱と過大評価を懸念する声も出ている。
テマセクはAI投資を拡大する一方で、プライベートクレジットとインフラ分野への投資も広げ、ポートフォリオの安定性を高める計画である。成長性の高い分野に投資しつつ、地政学的な不確実性と市場の変動性に対応するため、投資先を多様化しようとする意図とみられる。ロヒト・シパヒマラニ(Rohit Sipahimalani)テマセク最高投資責任者(CIO)は「地政学的環境においてレジリエンスはポートフォリオ構成の核心だ」と述べ、「競争優位とレジリエントなサプライチェーンを備えた企業を探している」と語った。
業界では、テマセクがAIを短期的なブームではなく産業構造の変化を牽引する長期成長分野とみて投資を拡大しているとの分析が出ている。AIサービスの拡大でデータセンターや半導体、電力インフラなど基盤産業の需要が増加すると予想されるなか、関連分野を先取りするためのグローバルな投資競争も続く見通しである。