先月17日に成立した米・イランの暫定合意が、20日で事実上の破棄手続きに入った。ドナルド・トランプ米国大統領は8日(現地時間)、トルコのアンカラで開かれたNATO首脳会議の最中、イランと結んだ60日の暫定休戦状態に関する取材陣の問いに「自分にとっては終わったようだ」とし「彼らと相手にしたくない」と答えた。

その前日、米軍はホルムズ海峡での商船攻撃への報復だとして、イランの防空網・沿岸レーダー・革命防衛隊の小型ボートを空爆した。これらはイランがホルムズ海峡で商船を脅かすために用いていた手段である。米国がイラン本土の主要施設よりも、海峡の通航を揺さぶる実務戦力を先に叩いたのは、イランが今後行使しうる海上圧迫カードを無力化しようとする措置と受け止められる。

APによると、トランプはこの日NATO首脳会議で、前日の米国の空爆がイランの商船攻撃に対する報復だと位置づけ、発言を続けた。続いてマルク・ルッテNATO事務総長と同席した場で「自分の見るところ、彼らと相手をするのは時間の無駄であるだけだ」と非難した。

ドナルド・トランプ米大統領が2026年7月8日、トルコのアンカラで開かれたNATO首脳会議で演説している。/聯合ニュース

両国は8日現在、まだ交渉決裂を公式には宣言していない。トランプは「米国代表が引き続き交渉することはありうる」として交渉窓口を開いておいた。しかし専門家は、大統領が今回の会談を公然と「時間の無駄」と規定した以上、実務陣が譲歩案を提示する政治的な余地も狭まったと評価した。交渉の実務ラインが対話を続けたとしても、暫定合意が持っていた政治的権威が失われたことを意味すると解釈される。

先に米国とイランは休戦を前提に交渉に入った。ひとまず軍事的衝突を止め、イランがホルムズ海峡の船舶通航を許容すれば、米国がイランに原油販売を許可し、その間に双方代表団が本交渉を準備する構図だった。両国は、ハメネイ前最高指導者の葬儀が終わった後、ホルムズ海峡の全面再開放とイランの核プログラム縮小をめぐり最終合意の交渉に入ることにしていた。ところが7日から両国が軍事衝突を再開し、今後の交渉は形式的に残る可能性が高まったとAPは伝えた。

前日の米側の軍事対応も、従前の警告水準を越えた。米中央軍は7日の空爆で、イランの防空網とレーダー、革命防衛隊が運用する小型ボート60隻以上を標的にしたと明らかにした。米国は軍事的報復とともに経済的な見返りも回収した。米国は商船被撃直後にイラン産の原油・石油化学製品の販売を許容していた一般許可を撤回した。この許可は暫定合意に基づき、イランが公に原油を売れるよう開いていた例外措置だった。イランが海峡通航を保障すれば米国が原油販売の息継ぎを許す構図だったが、商船攻撃の後にこの見返りを再び取り上げた。

イランもまた、ホルムズ海峡を行き交う商船を越えて、湾岸地域の米軍拠点へと反撃の範囲を広げた。イランが7日に攻撃したバーレーンは、米海軍第5艦隊が所在する場所である。クウェートにも米陸軍兵力が駐留する。イランがこの日「2地域の米軍関連施設を標的にして打撃した」と明らかにし、今回の衝突はホルムズ通航の紛争を超え、湾岸駐留の米軍基地防衛の問題へ拡大する見通しだ。

イランの内政も、葬儀と米国の空爆を起点に急変している。今回の衝突はハメネイ前最高指導者の葬儀期間に起きた。イラクのナジャフで行われたハメネイの葬儀には、マスウド・ペゼシキアン・イラン大統領までが出席した。しかし新たな最高指導者として取り沙汰されるハメネイの息子のモジュタバ・ハメネイは、葬儀の間じゅう姿を見せなかった。APは「父親を死に至らしめた空爆で負傷した後、依然として潜伏中だという観測が出ている」と伝えた。ハメネイの葬儀参列者は、この場でトランプ大統領とベンヤミン・ネタニヤフ・イスラエル首相を狙った攻撃的なスローガンを繰り返し、抗戦の意思を示した。

イラン指導部も、米側が高い強度で空爆を行うなか、直ちに後退するのは難しい局面だ。専門家は「葬儀と継承の空白、反米世論が重なる状況で、米国の圧迫を受け入れる姿は内部的に弱点と映りかねない」と評価した。モハンマド・バーゲル・ガリーバーフ・イラン国会議長はこの日Xで「嫌がらせと搾取の時代は終わった。そのようなやり方では何も得られない。われわれは屈服しない」と述べた。

米国も、商船攻撃と米軍施設への脅威が続く中で、イランに再び原油販売許可を復元したり休戦合意に戻ろうと先頭に立つのは負担だ。このため専門家は、双方が当面、交渉決裂を公式宣言するよりは、軍事衝突と実務接触が並行する不安定な局面が続く可能性が大きいと見立てた。全面戦争に直ちに拡大するよりも、ホルムズでの海上脅威、湾岸の米軍基地の警報、米国の追加的な限定空爆が繰り返される形で、衝突が長期化するとの観測が出ている。

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