イランと米国が終戦交渉を進めていた当時、イスラエルが交渉に参加したイランの高位代表団の暗殺を推進していた状況が明らかになった。米国は交渉が頓挫する可能性を懸念し、仲介国を通じてイラン側に関連情報を伝達したとされる。
2日(現地時間)、米国日刊紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、米国と中東の前・現職当局者を引用し、イスラエルがモハンマド・バーゲル・ガリバフイラン国会議長とアッバス・アラグチ外相を暗殺対象に定めたと報じた。
2人は米国との終戦交渉に参加したイラン代表団の中核人物である。2人はイスラエルの相次ぐ暗殺作戦でも生き残った数少ないイラン指導部の人物でもある。
米国は交渉が本格化した状況で2人が暗殺されれば対話が中断され、中東情勢が再び悪化しかねないと判断した。これを受けて中東の友好国に、イスラエルの暗殺の可能性をイラン側に伝達してほしいと要請したとNYTは伝えた。
米国は先の2月、対イラン戦争が激化する中で、イスラエルがガリバフ議長とアラグチ外相を暗殺対象に含めた事実を把握していた。しかし交渉が始まると、彼らを狙った攻撃が交渉自体を頓挫させかねないと懸念したとされる。
ある米国当局者はNYTに、双方代表団間の接触は続いており、ドナルド・トランプ大統領も和平プロセスが継続することを望む立場を維持していると語った。在米イスラエル大使館はNYTのコメント要請に応じなかった。
交渉が進行する間、イランも暗殺の可能性に備えた。NYTによると、4月にガリバフ議長が交渉の仲介国であるパキスタンのイスラマバードを訪問するに先立ち、イランはイスラエルが代表団の移動中に暗殺を試みる可能性を懸念した。これを受け、パキスタンとカタールを通じて米国側に代表団の安全保障を要請したとされる。
当時パキスタン空軍は、代表団約70人を乗せた航空機を国境からイスラマバードまで護衛し、交渉終了後の帰国の途にも戦闘機を投入した。
しかし帰国の過程でも緊張は続いた。イラン軍は、ガリバフ議長を乗せた航空機がイスラエルの攻撃対象となり得るとの情報を入手したと代表団に知らせた。当時、イスラエル戦闘機2機がイラクを経由してイラン領空に接近しているという警告も伝えられたとされる。
結局、代表団を乗せた航空機はテヘランに向かえず、イラン北東部のマシュハド空港に緊急着陸した。代表団はその後、約8時間にわたり陸路で移動しテヘランに戻った。
ガリバフ議長とアラグチ外相はその後も米国との交渉を続けた。2人は6月、スイスでJD・バンス米国副大統領らが出席した米国代表団と2回目の対面会談を開き、終戦覚書(MOU)の後続交渉を進めた。