日本が29日(現地時間)、外国投資を国家安全保障の観点でふるいにかけるための日本版外国投資審査委員会(J-CFIUS)を新設し、稼働に入った。この委員会は財務省と国家安全保障局(NSS)が共同で主導し、経済産業省・防衛省が参加して、先端技術とサプライチェーンを狙う中国資本による企業買収を事前に遮断する。
ブルームバーグはこの日、高市早苗日本総理政府が発足させたJ-CFIUSについて、複数の府省が外国資本による日本企業の買収を安全保障上のリスクの観点から共同で精査するための組織だと伝えた。日本ではこれまで外国投資資金を財務省と所管産業の府省のみで審査してきた。しかし日本で相次いだ経済安保事案の発生を受け、外国為替及び外国貿易法(FEFTA)を改正してこの委員会を設けた。
制度上、J-CFIUSは外国投資一般を審査する。しかし日本は中国資本を標的にこの制度を持ち出したとみられる。最近、陸上自衛隊が中国と連関したウイルスに感染したUSBドライブを約1年間使用していた事実が明らかになり、物議を醸した。これとは別に、日本経済新聞によれば、武漢所在の化学企業とつながる中国組織が名古屋に設立した会社を拠点にして2024年7月まで米国向けフェンタニル原料の密輸を日本で指揮していた状況が確認された。中国の犯罪組織は日本を半導体チップを密輸する迂回路として使うこともあった。台湾基隆地検は先月21日、エヌビディアのAI半導体が入ったスーパーマイクロのサーバーを虚偽書類で輸出しようとした3人を摘発し、サーバー約50台を押収したと明らかにした。押収規模は1560万ドル、当日の為替で約238億ウォンに達した。日本を経由したAI半導体密輸を検察が狙い撃ちした初の事例だ。
密輸や窃盗だけが問題ではない。中国資本は企業買収という合法的な経路を通じて先端技術を吸収している。全米経済研究所(NBER)が159カ国16万1773社を追跡した論文によると、中国資本が保有する海外企業の総資産は2012年の5510億ドルから2021年には2兆5000億ドルへ膨らんだ。このうち84%に当たる2兆1000億ドルが実質的な中国資本の支配下にある。同期間に中国が支配する海外資産は年平均20%ずつ増え、米国の増加率7%を上回った。
研究チームが海外に大型子会社を1社以上抱える中国の非金融大企業456社を分析した結果、先進国企業を初めて買収した初年度に親会社の平均特許出願は21件から64件へと204%急増した。とりわけ中国の国有企業は15件から83件へと4.4倍に跳ね上がった。一方で買収された現地企業の特許は有意に増えなかった。むしろ総資産利益率(ROA)は1.1ポイント低下した。全米経済研究所はこれを、技術とイノベーションの成果が現地に残らず中国の本社へ流出する「イノベーションの逆流」の証拠として挙げた。
日本はこうした事態を防ぐために委員会の設置と同時に、外国投資の事前審査対象を間接保有持分にまで広げた。日本当局は外国政府や国家統制企業のようにリスクが高い投資家が日本企業と取引する場合、従来は機微に分類していなかった分野でも精査できるようにした。従前の法律では、外国のアクティビストファンドが政府審査なしに企業持分を10%まで取得できた。しかし改正後の基準は1%に引き下げた。買収の標的となった自国企業に影響力を行使しようとする資本に、より厳格な基準で臨む意図だとみられる。
これは日頃から高市総理が強調してきた公約でもある。高市総理は総理就任前に自民党サイバー安全保障本部長を経て2022年から2024年まで経済安全保障担当相を務めた。高市総理は大臣時代、サプライチェーンとインフラ、技術を国際的なリスクから保護する立法を主導した。2024年の著書『日本の経済安全保障:国家と国民を守る』では「サプライチェーンの回復力と情報セキュリティを強化する際、中国の存在を忘れてはならない」と記した。
チャイナマネーに一段と厳しい物差しを当てる流れは日本だけでなく他の経済圏でも見られる。米宇宙企業スペースXは12日、ナスダック上場公募で中国本土と香港の投資家からの資金を受け取らないことにした。中国・香港の投資家が米大型新規株式公開(IPO)から丸ごと排除された初の事例だ。欧州連合(EU)は日本に先立ち強化した外国直接投資(FDI)審査の枠組みを確定した。この法案は半導体とAI、重要原材料に関連するEU企業への投資を共通審査の対象に指定し、EU域内の子会社を経由した迂回投資まで審査するよう範囲を広げた。ドイツはこれとは別に、自国の半導体企業2社への中国投資を阻止した。カナダもカナダ投資法に基づき、中国企業が保有するカナダの重要鉱物企業の持分を処分するよう命じた。英国は改正した審査法で香港企業による電子設計企業の買収を阻止した。.
アキラ・イガタ東京大学経済安全保障情報研究所長はブルームバーグに「高市総理は、政策担当者と官僚、学界がここ数年主張してきた経済安全保障政策を実際に実行に移している」と述べた。