米国とイランがホルムズ海峡で数日にわたり続いた攻撃を中断し、後続協議に入ることで一致したが、代理勢力を前面に立てた「影の戦争」はむしろ本格化しかねないとの懸念が出ている。
28日(現地時間)英ガーディアンは専門家の見解を引用し、「イランが今後、代理勢力への支援をさらに拡大する可能性が大きい」とし、「程度は劣るが、イスラエルと米国が支援する非正規武装勢力の活動も活発化するだろう」と報じた。
イランの代表的な代理勢力としてはレバノンの武装組織ヒズボラが挙げられる。ヒズボラは2024〜2025年にイスラエルとの長期衝突で大きな被害を受けたが、依然として中東においてイランが構築した同盟・代理勢力ネットワークの中核軸として機能している。
米国とイランの終戦協議がぎくしゃくしている理由の一つもヒズボラとイスラエルの衝突である。ヒズボラは戦争初期からイスラエルを攻撃し、米国とイランがレバノンを含むすべての戦線で軍事作戦を終了することで合意した後も、イスラエルとの武力衝突を続けた。
米シンクタンク、ワシントン近東政策研究所の上級研究員ハニン・ガダルは「イランは現在の状況を一時的な低迷期と見ており、ヒズボラが再建されると信じている」と述べ、「イラン革命防衛隊(IRGC)にとっては、中東全域の代理勢力を再建し、これらの意思決定を統制することが絶対的に重要だ」と分析した。
イランはヒズボラ以外にも複数の代理勢力を支援している。今回の戦争にはイランの支援を受けるイエメンのフーシ派反政府勢力が参戦し、イラクではイランが20余年かけて育成してきたシーア派民兵が米軍施設とクウェートを狙って数十回にわたりドローン・ロケット攻撃を敢行したと主張し、存在感を示した。
米国もイラン国内の少数民族であるクルド人を代理勢力として活用しようとした。クルド人はイランとイラクの国境地帯で活動している。3月初め、ドナルド・トランプ大統領はクルド人のイラン攻撃の可能性について「全面的に賛成だ(all for it)」との立場を明らかにしたこともある。
ガーディアンは元クルドおよび米軍の高官らを引用し、米国が戦争勃発時に数千人の軽武装クルド兵力を米特殊部隊とともにイラン北西部へ侵入させる計画を以前から用意していたと伝えた。
ただし、実際に投入可能なクルド人兵力は数百人規模にとどまるうえ、クルド指導部も米国への不信から協力に消極的だったとされる。その後、トランプ大統領もクルド人の戦争介入を望まないと立場を変えた。
イスラエルの情報将校出身で現在はテルアビブ大学の研究員であるマイケル・ミルシュタインは、米国とイスラエルが「クルド共同体と接触はあったが、実際の協力には発展しなかった」と語った。
イスラエルもシリアとガザ地区で代理勢力を活用している。イスラエルの情報機関はシリアのドルーズ系民兵に資金と情報、武器を提供したとされる。またガザ地区ではハマスに対抗するため、複数のパレスチナ民兵を育成している。
中東の戦争が代理戦の様相へ拡大しかねないとの懸念は、湾岸諸国や米国でも出ている。最近、中東歴訪を終えたマルコ・ルビオ米国務長官は、最終合意が成立するにはイランが核計画を制限するだけでなく、ガザ地区のハマス、レバノンのヒズボラ、イラクのシーア派民兵、イエメンのフーシ派反政府勢力への支援も停止しなければならないと強調した。