米国とイランの終戦覚書(MOU)締結で国際原油価格は急落したが、米国小売市場のガソリン価格がなかなか下がらない中、ドナルド・トランプ米大統領が石油業界を正面から狙い撃ちした。

ドナルド・トランプ米大統領/EPA=聯合

24日(現地時間)ICE先物取引所で国際原油の指標であるブレント8月渡しは前日比3.34ドル(4.33%)急落の1バレル=73.74ドルとなった。米国の原油指標であるウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)8月物もこの日、ニューヨーク商品取引所で2.87ドル(3.92%)下落の1バレル=70.34ドルで取引を終えた。両原油ともにイラン戦争勃発以降で最も低い水準である。

しかしウォールストリート・ジャーナル(WSJ)によると、米国のガソリンスタンドの価格は1ガロン当たり3.93ドル前後で、戦争勃発以前より約1ドル高い水準を維持している。ガソリン価格がなかなか下がらない中、ドナルド・トランプ大統領は22日深夜にトゥルース・ソーシャルを通じて「大手石油会社が自らが石油に支払う価格は大きく下がったにもかかわらず、スタンド価格は下げていない。言い換えれば消費者をぼったくっている(gouged)」として法務省に捜査を指示したと明らかにした。

11月の中間選挙を控えたトランプ政権はインフレにつながり得る原油価格を安定させることに注力している。テイラー・ロジャース米ホワイトハウス報道官は「原油価格が急落すればガソリンスタンドの価格も最終的に追随して下がる」と述べ、「トランプ大統領はガソリン価格を史上最低水準にまで引き下げた実績があり、政権は米国国民に経済的支援を提供することに引き続き集中している」と明らかにした。

トランプ大統領が米国の石油企業を公然と非難したことについて、民主党の戦略と類似しているとの評価も出ている。WSJは「トランプ大統領はガソリン価格上昇という難局に直面し、民主党が長らく用いてきた戦略である『石油大手責任論』を持ち出している」と報じた。

2022年にロシアのウクライナ侵攻でガソリン価格が1ガロン当たり5ドルまで急騰した当時、ジョー・バイデン前大統領も石油業界が戦争を利用して過度な利益を得ていると批判し、業界と対立を深めた。当時バイデン大統領は石油企業が過去最高の業績を記録すると、一定基準以上の利益を上げた企業に追加課税する「超過利得税(風説税)」の導入を推進すると圧力をかけたりもした。トランプ大統領の政敵であるギャビン・ニューサム米カリフォルニア州知事も高止まりする原油価格を理由に石油業界と幾度も摩擦を起こした。

エネルギー調査会社クリアビュー・エナジー・パートナーズのリサーチ責任者ケビン・ブックは「高い燃料価格を批判するのは民主・共和いずれの党出身の大統領にもよくあることだ」とし、「ただしトランプは言葉にとどまらず実際に行動へ移す能力を示しており、これがバイデンと異なる点だ」と分析した。

石油業界はトランプ大統領の発言に反発している。ベサニー・ウィリアムズ米国石油協会(API)報道官は声明で「ガソリン価格は原油価格と常に同じ速度で動くわけではない」とし、「特に供給と精製、在庫に依然として影響を及ぼしている大規模なグローバル混乱が発生した状況ではなおさらだ」と明らかにした。

米国西テキサスの石油・ガス生産企業フォメンテラ・パートナーズの経営パートナーであるブライアン・シェフィールドも「市場が一夜にしてすべてのガソリン価格を再調整するわけではない」とし「ある程度の忍耐が必要だ」と述べた。

ガソリン価格をめぐるトランプ大統領と石油業界の神経戦は、これまで友好的だった両者の関係の転換点になり得るとの見方も出ている。トランプ政権の発足初期だけを見ても、トランプ大統領は業界の長年の不満だった環境規制を撤廃し、連邦土地での掘削を許可し、企業の税負担を数十億ドル減らす政策を展開して業界と友好的な関係を維持してきた。

WSJは「トランプ大統領の強硬対応は、政権と化石燃料業界の関係を試す舞台に載せるのは確実だ」とし、「業界経営陣はホルムズ海峡の航行が正常化しなければ燃料価格が数カ月間上昇し得るとトランプ政権に公開・非公開で繰り返し警告してきたが、今やトランプ大統領が業界に対して圧力をかけに出る可能性に直面することになった」と伝えた。

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