米国の深刻な住宅難を緩和するために議会が超党派で処理した大規模な住宅供給拡大法案が、ドナルド・トランプ大統領の突如の署名保留決定でブレーキがかかった。トランプ大統領は同法案よりも共和党が推進するいわゆる「有権者ID法」を先に処理すべきだとして、法案への署名を先送りすると明らかにした。

ドナルド・トランプ米大統領。/AFP

トランプ大統領は24日(現地時間)ホワイトハウスで予定されていた「21世紀住宅供給拡大法」(21st Century ROAD to Housing Act)への署名式を取りやめた。

トランプ大統領はソーシャルメディア(SNS)のトゥルース・ソーシャルで「住宅供給に関する記者会見と署名式は、私が国家的非常事態とみなす『セーブ・アメリカ法案』(SAVE America Act・投票資格保護法、以下セーブ法案)が可決されるまで中止される」と述べた。

セーブ法案は有権者登録の際に市民権の証明を義務化し、郵便投票を大幅に制限する内容を盛り込み、「有権者ID法」とも呼ばれる。トランプ大統領はこれまで民主党がずさんな選挙制度を悪用して不正選挙を行ったと主張してきており、共和党の11月中間選挙の勝利にはこの法案の処理が不可欠だという立場である。

一方、住宅供給拡大法は、住居費負担の緩和に向けて共和・民主両党が共同で推進した代表的な超党派法案である。環境影響評価など各種の認可手続きを簡素化して住宅建設のスピードを高め、地方政府の住宅建設審査権限を拡大する一方、350戸以上の一戸建て住宅を保有する企業の追加買い入れを制限する内容などが盛り込まれた。

先に上院は22日、賛成85票、反対5票で法案を可決し、下院も23日、賛成358票、反対32票で通過させた。今回の法案通過は中間選挙を前に有権者の住居費負担を和らげるべきだという両党の利害が一致した結果と解される。共和党は足元の物価上昇と景気減速でトランプ大統領の政権支持率が揺らぐなか、住宅難の解消を政策成果として掲げようとし、民主党も大型不動産投資企業の住宅買い集めを制限し中産層の住居負担を減らせるという点で積極的に協力した。

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