米国で高インフレとの戦いにより航空券価格が上昇し、現地の格安航空会社が破綻したことで、飛行機の代わりにバスを選ぶ旅行客が増えている。米国のバス業界も乗客の獲得に向けて路線拡大と車両の近代化を加速している様相だ。
22日(現地時間)、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は、米国の格安航空会社スピリット航空が5月に運航を中断して以降、旅行客が長距離バスを多用していると伝えた。スピリット航空は安い運賃で「空のグレイハウンド(Greyhound)」という愛称で呼ばれた。グレイハウンドは米国全土を結ぶ代表的な長距離市外バス事業者である。スピリット航空が消え、一部の乗客がグレイハウンドのバスで移動しているということだ。
テネシー州ナッシュビルに居住するキヤナ・ミラー(29)はWSJとのインタビューで、最近友人らに会うためアトランタまでグレイハウンドのバスを利用したと語った。往復料金は75ドル(11万5000ウォン)だった。キヤナ・ミラーは今夏のニューオーリンズ旅行もグレイハウンドのバスとアムトラック(Amtrak)列車を利用して行ってくる計画だと述べた。
実際にフリックスバス(FlixBus)とグレイハウンドを運営するフリックス・ノースアメリカによると、スピリット航空の運航中断直後の最初の1週間で、スピリット航空の路線と重なる約130路線の乗客数は前年同期比30%増加した。関連オンライン検索量も20%増えた。
業界では、最近のバス利用増が単にスピリット航空破綻に伴う反射利益だけではないとみている。足元の米国では航空券価格の上昇と油価負担が増したうえ、政府機関閉鎖(シャットダウン)の影響で空港の待ち時間が長引いたり欠航が発生する事例も相次いだ。さらに航空各社が収益性の低い短距離路線を削減し、バスが代替として浮上しているとの分析が出ている。
米国バス協会財団によると、市外バスと貸切バスを含む米国バス産業の昨年の乗客移動距離は439億マイル(約707億km)で、前年より約9%増加した。新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)ショックが大きかった2020年と比べると2倍以上となる数値だ。
フレッド・ファーガソン米国バス協会(American Bus Association)最高経営責任者(CEO)は「航空旅行の過程で不便さが増すほど、バス業界は恩恵を受ける」と語った。
バス事業者は増加する需要に対応して積極的な投資に乗り出している。フリックスバスとグレイハウンドは昨年16路線を追加したのに続き、今年は米国とカナダで新規路線25本を開設した。車両の近代化も進行中だ。グレイハウンドは直近2年間で座席の快適性とWi-Fi性能を改善した新規バス181台を導入し、今年は追加で85台を購入する予定だ。
専門家は、油価が上がればバス需要をさらに刺激し得ると分析した。ジョセフ・シュバイターマン、デポール大学チャディック大都市開発研究所の所長は「2010年代初めに中東地域の不安で油価が上昇した時も、バス事業者メガバスが米国市場で急成長できた」と述べた