ドナルド・トランプ米国大統領が最近イランと締結した終戦関連の了解覚書(MOU)をめぐり、賛否が割れている。トランプ大統領自身は過去にバラク・オバマ前大統領がイランと結んだ核合意(JCPOA)より強力だと自評したが、報道で知られた内容は1章半にすぎず、政界では疑念が噴出している。
16日(現地時間)にCNNや米国の外交・安保専門誌ディプロマットなどによると、トランプ大統領は最近、米国とイランが締結した暫定合意について「イランの核兵器保有を根元から遮断する合意だ」とし、2015年にバラク・オバマ政権が結んだJCPOAより一段と前進したものだと主張した。
しかし現在判明している内容だけを見ると、むしろJCPOAより細部が不足しているとの指摘が出ている。CNNによれば、JCPOAはウラン濃縮の上限や遠心分離機の運用基準、国際原子力機関(IAEA)の査察方式などを盛り込んだ18ページの詳細な合意文だった。これに対し、JD・バンス米国副大統領は今回の米・イラン合意が約1ページ半の了解覚書の形態だと説明した。
◇「ホルムズ海峡の再開も成果ではない…JCPOAより曖昧」
今回の合意は停戦とホルムズ海峡の再開、今後60日間の追加交渉開始を骨子とする。核プログラムの制限範囲や濃縮ウランの処理方式、査察体制、対イラン制裁緩和の条件など敏感な争点は大半が後続交渉に委ねられた。
ディプロマットは、今回の合意の代表的成果とされるホルムズ海峡の再開も「新たな成果」というより戦争以前の状態へ戻す措置に近いと評価した。戦争前も同海峡は世界の原油輸送の要衝だったうえ、今回の合意はイランが設置した機雷を除去し、米国が封鎖を解除する内容が中心だという説明だ。
核問題でも合意内容が明確でないとの批判が出ている。バンス副大統領は「イランは核兵器を保有せず、開発もしない」と強調したが、これをどのように検証し管理するのかという具体的な内容はまだ公開されていない。ディプロマットは、ウラン濃縮の上限やIAEAの検証体制など核心条項が抜けている点で、現在の合意はJCPOAより具体性に欠けると指摘した。
オバマ前大統領も最近のABCのインタビューで「新たな合意が出ても既存のJCPOAと大きく変わらない可能性が高い」とし、トランプ大統領の「より良い合意」という主張に疑問を呈した。
◇トランプ側近からも批判の声…「MOUを公開せよ」
専門家や政界は米国政府がMOUを正式公開すべきだと指摘した。トランプの対イラン軍事行動を支持していた保守系評論家でフォックスニュースの司会者であるマーク・レヴィンは「なぜ我々の国民がこのいまいましい(damn)MOUを見られないのかをここ数日問い続けている」とし、「匿名の関係者からブリーフィングを受けた人々の説明ではなく、実際の文書を言っている」と述べた。続けて「正直、こういうケースは見たことがない」「本当に平和のための優れた成果なら公開せよ」と明らかにした。
民主党所属のロー・カナ下院議員はX(旧ツイッター)に「今回の戦争は米国に高くつく教訓を残した」とし、「予想どおりトランプはイランの体制転換を導くことに失敗した」と批判した。さらに「現在判明している合意条件は、オバマがほぼ10年前にJCPOAで確保した内容より良くは見えない」と評価した。
ワシントン・ポスト(WP)のコラムニストであるマーク・ティーセンは、今回の合意がバラク・オバマ政権の2015年のイラン核合意と似て見えると指摘した。ティーセンは、イランが合意を履行すれば3,000億ドル規模の再建基金にアクセスできることを示唆したバンス副大統領のメディアインタビューについても「いかなる状況でもイランに3,000億ドルを与えるのは破滅だ」とし、「ナチスが権力を握っているドイツに再建せよとマーシャル・プランを提示するのと同じだ」と非難した。
ただし現段階で二つの合意を単純比較するのは難しいとの見方もある。CNNは、現在公開されている合意が長期核協定ではなく今後60日間の追加交渉のための暫定合意に近く、全文もまだ公開されていないとして、最終的な交渉結果に応じた核プログラムの制限方式と検証体制の具体化の有無を見守るべきだと伝えた。