今年1月にニコラス・マドゥロ前ベネズエラ大統領が追放されると、ベネズエラには期待感があふれた。街頭には米国に感謝する横断幕が掲げられ、ドナルド・トランプ米国大統領は一時ベネズエラで70%を超える支持率を記録した。しかし、わずか数カ月で雰囲気は変わった。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)は14日(現地時間)、変化が予想より遅々として進まず、ベネズエラ国民の間でトランプ大統領への失望感が高まっていると報じた。支持率も急落傾向だ。現地の世論調査によればトランプ大統領の支持率はわずか2カ月の間に20〜30%ポイント近く下落した。世論調査会社メガナリシスの調査では3月に75%だった支持率が4月には47%へ落ち、アトラス・インテルとブルームバーグの調査では2月に53%だった支持率が5月には45%へ下がったことが分かった。
FTは「マドゥロ追放以後にベネズエラ経済が安定化しているという米国政府の主張とは異なり、現地住民は生活の変化を体感していない」と伝えた。カラカスでタクシーを運転するオスカル・モンテロはFTに「石油収入が増えたというが、われわれのような庶民には何の変化もない」とし「経済が良くなったとは感じない」と語った。
1月に米国が主導した軍事作戦でマドゥロが拘束されると、ベネズエラ社会には大きな期待感が広がった。米国はマドゥロ政権に科していた制裁を一部緩和し、ベネズエラの原油輸出を再び認めた。数百人の政治犯が釈放され、反政府デモも以前より自由に開けるようになった。トランプ大統領は最近も「ベネズエラは幸福な国になった」として経済回復を強調したが、当の現地ではこうした評価に同意しない声も少なくない。
実際の経済状況は依然として深刻だ。ベネズエラ中央銀行によれば先月の年間インフレ率は500%を上回った。法定最低賃金は月130ボリバルで、米ドルにして1ドルにも満たない。政府の補助金などを加えても月収は240ドル水準だ。一方、現地労組は5人家族が1カ月の生計を維持するのに必要な食費が730ドルを超えると推計する。ここ数カ月間、ベネズエラ各地で最低賃金引き上げを求めるデモが続く理由だ。
石油産業は回復の兆しを見せているが、ベネズエラ国民が体感する効果は限定的だとFTは評価した。国営石油会社PDVSAのジョバンニ・マルティネス副社長によれば、ベネズエラの原油生産量は昨年末に日量120万バレルで、1年前より20万バレル増加した。今年は日量130万バレルまで増える見通しだ。
米国が管理している石油収益もまた論争の的だ。ワシントンはマドゥロ追放以後、ベネズエラの石油収入を直接管理し、国家再建と福祉支援に用いていると説明する。しかしベネズエラ国民は、当該資金が実際にどこに使われているのか十分に開示されていないと不満を提起している。
政治改革が停滞している点も不満要因として挙げられる。米国は自由選挙の実施を約束しているが、具体的な日程は示していない。人権団体ポロ・ペナルによれば、現在も約400人の政治犯が収監中だ。FTは、マドゥロはいなくなったが、マドゥロが構築した権力構造と統治システムは相当部分が維持されていると指摘した。
こうした中、トランプ大統領が最近、ベネズエラを米国の51番目の州として編入できるという趣旨の発言までして反感が強まっている。親米性向のロドリゲス政権でさえ「ベネズエラは植民地ではなく主権国家だ」として公然と反発した。FTは「マドゥロ追放直後にはベネズエラ人がトランプを救援者とみなしたが、数カ月が過ぎた今は経済難と政治改革の遅延で期待が失望へと変わっている」と評価した。