人工知能(AI)の普及で企業業務の自動化が急速に進み、日本企業の新卒採用戦略も変化している。大規模な一括採用に代えて職務に適した人材を選抜する「少数精鋭採用」や職務中心の採用が広がっている様子だ。

イラスト=ChatGPT

9日付の日経ビジネスによると、日本ではAIを積極導入する企業ほど新卒採用の規模を縮小する傾向が鮮明になっている。人材サービス企業アカリクによれば、組織レベルでAI活用を推進する企業の約90%が新卒採用戦略を再検討し、約60%は実際に採用規模を縮小したことが分かった。

日本の金融グループSBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長は今年3月のあるイベントで「今後、採用規模を大幅に縮小するのは絶対的な方針だ」とし「特に優れた人材でなければ採用しないよう人事部に指示した」と明らかにした。日本最大の石油元売りENEOSと農機メーカーのクボタ、住宅・建設企業の大和ハウス工業も2027年卒業予定者の採用規模を大幅に減らす計画だ。

日本の情報通信技術(IT)企業の富士通は2026年入社者から新卒一括採用制度を廃止した。平松浩樹最高人事責任者(CHRO)はこれについて「全社的なジョブ型人事制度への転換を完成させる最後のピースだ」と説明した。富士通はAIの進展により入社後5年目程度までの業務の相当部分が自動化され得るとみて、単に多くの人員を採用する代わりに明確な目的意識と職務専門性を備えた人材の確保に注力すると明らかにした。

採用プロセスでのAI活用も活発になっている。ドラッグストアチェーンのウエルシア薬局は2027年卒業予定者の採用から一次面接にAI面接システムを導入した。会社側は評価基準を標準化し業務負担を軽減できると伝えた。

ただしAI活用が増える中で採用現場では予期せぬ副作用も現れている。応募者もAIを積極活用し始め、応募書類の内容が画一化しており、オンライン面接ではAIがリアルタイムで回答を提案するサービスまで登場した。このため企業は応募者の実際の能力を確認するために書類選考を縮小または廃止し、対面面接や長期インターンシップ、動画評価などを強化する案を検討している。

人事担当者の間でも採用方式の変化の必要性に対する共感が広がっている。日経ビジネスとリクルートマネジメントソリューションズが共同実施した調査で、人事担当者779人のうち6割以上が現在の採用方式を変える必要があると答えた。また、回答者の約4割はAI活用が本格化すれば新卒採用規模が現在より減少すると見通した。

日経ビジネスは、AIが単に採用業務を効率化する水準を超え、企業の採用戦略そのものを変えていると分析した。過去の大規模な新卒一括採用モデルが揺らぐなか、企業はAIを活用して採用プロセスを効率化しているという。また、対面面接と深い対話を通じて応募者の能力と潜在力を検証する方向へ採用方式を再設計していると評価した。

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