「フィジカル人工知能(AI)・ヒューマノイド(人型ロボット)はバイドゥ・スマートクラウド」
「フオシャンエンジン、あなたのAIクラウド」
「企業のAI革新はファーウェイクラウド」
3日中国南部の広東省シンジェン(深圳)。バオアン(宝安)国際空港に到着するとすぐ、壁面を埋め尽くす大型広告が目に入った。バイドゥ(百度)、バイトダンス(Bytedance)、ファーウェイ(華為)など中国を代表するビッグテック(大手IT企業)各社のAIクラウドサービスのコピーが電光掲示板を覆っていた。
シンジェンは有力テック企業が集積する「中国のシリコンバレー」と呼ばれる。このため空港には一般観光客より出張者が多く、彼らを狙った企業間取引(B2B)サービスの競争が到着階の中核スペースを占めていた。主要観光地や消費財ではなく、AIが空港の「顔」となっていた。
空港を出て市内へ向かう道すがら、青空の下、箱を吊るした黒いドローン1機が目に留まった。宅配配送またはフードデリバリー用と推定されるドローンだった。都市全域でドローン飛行が厳格に禁じられている北京とは対照的な光景である。
シンジェンは世界最大のドローンメーカーであるDJI(大疆)の本社がある都市であり、中国最大のデリバリープラットフォームであるメイトゥアン(美団)は現在、シンジェン内の主要公園でドローン配送サービスを運営している。利用者がメイトゥアンのアプリで食事を注文すると、公園に設置された無人宅配ボックスに似た専用機器にドローンが着陸し、料理を置いていく。QRコードをスキャンすると保管ボックスのドアが開く。
都心では清掃ロボットが歩道を清掃する光景も目撃された。屋内のショッピングモールや空港で清掃ロボットに接することはもはや珍しくないが、屋外の環境美化まで自律化されていた。ロボット上部には周囲環境を認識すると思われるセンサーが搭載され、清掃ロボットは単独で歩道を自律走行しながら路面を掃いていた。AI技術が展示館を離れ、実際の都市インフラとして定着したのである。
シンジェンは中国の改革・開放の象徴とみなされる都市だ。1980年に中国初の経済特区に指定されて以降、シンジェンは小さな漁村から人口1,800万人の先端産業都市へと変貌した。ファーウェイ、テンセント(騰訊)、DJI、BYD(比亜迪)など中国を代表するテクノロジー企業がこの地で成長し、今日のシンジェンを中国先端技術の中心地に押し上げた。
11月にはアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議がシンジェンで開かれる。中国がAPECを開催するのは2014年の北京以来12年ぶりだ。中国は今年のAPECのテーマを「アジア・太平洋共同体の建設、共同繁栄の促進」と提示した。
APEC開催の約5カ月前に当たる4日に訪れたフーティエン(福田)区の国際交流センター一帯では、鼻を刺すディーゼル臭が立ちこめる中、工事作業が佳境にあった。正門の出入口は封鎖され、歩道には「歩行者は迂回せよ」という標識が立てられていた。正門を守る警備員は写真撮影を制止する場面もあった。
正門前の道路は往復1車線だけを残して通行規制されていた。道の向かい側まで既存の道路をはがして再整備する工事が進行しており、歩道の各所には景観樹が新たに植えられていた。10台余りの掘削機が土とコンクリートをはがし、トラックと重機がひっきりなしに行き交った。
会場近隣と主要都心部では「APEC 中国 2026」と記した大型の電光掲示板や横断幕を容易に見つけることができた。電光掲示板と横断幕には「シンジェンへ向かう約束が美しいアジア太平洋をつくる」と記されていた。
一方で今年のAPEC首脳会議は11月上旬〜中旬ごろに開催される見通しだ。習近平中国国家主席をはじめ、米国、韓国、日本など21の加盟国・地域の首脳と政府代表団、グローバル企業人が出席する見込みである。中国は今回の会議を通じ、デジタル経済、AI、サプライチェーン安定化、グリーントランジションなどの議題を集中的に議論する計画だ。
マ・ジャオシュイ中国外交部副部長は昨年12月にシンジェンで開かれたAPEC非公式高級実務者会合(ISOM)で、3大優先課題として開放、革新、協力を掲げ、「シンジェンは世界的に認められるイノベーションハブだ」とし、「中国は技術革新と発展の経験をパートナーと共有し、地域のイノベーション成長に寄与する用意がある」と述べた。