グラフィック=ChatGPT

中国で羊飼い2人を採用する求人に700人を超える応募が殺到した。冬季に気温が氷点下30度を下回る人里離れた草原での勤務条件だが、都市の一般的な職場より高い月給と宿食提供の条件に関心が高まったとみられる。今回の現象は中国の労働市場の不安と長時間労働文化への疲労感を示すとの分析が出ている。

先月29日(現地時間)ロイター通信やガーディアンなど海外メディアの報道によると、中国ネイモンゴ自治区シリンホト近郊で牧場を運営するズオ・シャオヨンは4月末に中国のソーシャルメディア(SNS)に羊飼いの求人を掲載した。2000ヘクタール(㏊)規模の草原で羊3000頭を世話するのが主な業務だ。

月給は1人当たり8000元(約157万円)と提示された。宿舎と食料品も提供される。夫婦で採用されれば月1万6000元(約314万円)を受け取れる。これは中国の都市部民間企業労働者の平均月給である約6000元(約134万円)を上回る水準だ。

求人は中国のSNSウェイボーで数時間のうちに閲覧数5900万回を記録した。応募者は700人を超えた。上海や重慶など大都市の事務職労働者、工場労働者、大学卒業者などが応募したと伝えられた。ズオ・シャオヨンは応募者の約半数が1990年代生まれで、10分の1は大学を卒業したばかりの人々だったと明らかにした。

牧場はモンゴル国境に近い人里離れた地域にある。冬には気温が氷点下30度を下回ることがあり、羊に餌を与えたり畜舎を清掃したりする仕事もしなければならない。ズオ・シャオヨンは「ここでは一年中、人をほとんど見ないかもしれない」とし「この仕事は観光ではない」と語った。

海外メディアは、今回の採用熱風が中国の就職難を示す事例だと分析した。中国の公式失業率は5%を少し上回る水準だが、不完全雇用と民間部門の賃金停滞が労働市場の不安を高めているということだ。今夏には史上最大規模の1270万人の大学卒業者が労働市場に参入する。

長時間労働文化への疲労感も背景として挙げられた。中国では午前9時から午後9時まで週6日働く、いわゆる「996」勤務慣行が依然として問題視されている。ガーディアンは、海運コンテナ工場で働く21歳の男性が過度な業務強度に疲れ、羊飼いの職に応募したと伝えた。電子商取引業界で働く28歳の女性も都市生活から離れたいという理由で応募したとされる。

中国では企業が35歳以上の求職者を敬遠する現象を意味する「35歳の呪い」という表現も使われる。今回の応募者の中で1990年代生まれが多かった点も雇用不安と無関係ではないとの分析が出ている。

夫婦の応募者を好む意向を示していたズオ・シャオヨンは、最終的に牧場勤務の経験がある1980年代生まれの夫婦2組を最終採用した。ズオ・シャオヨンは「これほど話題になるとは思わなかった」とし「平凡な人々が職を見つけるのに苦労しているようだ」と述べた。

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