ドナルド・トランプ米政権の中核的な経済方針である高関税が逆風に直面している。トランプ大統領の代表的な支持基盤である米国メイン州のロブスター漁師や農民の間で、関税と燃料費の急騰に対する不満が高まっているためだ。11月の中間選挙の核心となる勝負所であるメイン州の上院選の情勢までもが揺らぐ様相だ。

米国大統領のドナルド・トランプ。/ロイター

英フィナンシャル・タイムズ(FT)は最近、米国最大のロブスター産地であるメイン州の漁師が関税と原油高による二重苦に見舞われていると報じた。トランプ政権が中国と欧州連合(EU)などを狙って課した鉄鋼・アルミニウムの高関税は、漁師の装備価格の上昇につながった。ここにイランとの緊張の余波で燃料価格まで急騰し、収益性が大きく悪化した。

メイン州東部海岸の小さな漁村ウィンターハーバーで7代にわたりロブスターを獲っている漁師サイモン・トレスはFTに「関税は思ったよりはるかに長く続いている」とし、「時間がたつほど状況はさらに悪化している」と語った。トレスは「1日にディーゼルを100ガロン消費するが燃料価格が大きく跳ね上がり、運送費の上昇で餌の価格まで上がった」と述べ、「漁師の相当数がトランプを支持したが、今は過去最高水準の燃料費を抱えている」と明らかにした。

別の漁師ジェイソンも、毎年交換しなければならないかご100〜150個の価格が今年は1個当たり15ドル以上上がったと吐露した。かごの資材は主にイタリアと中国から、縄はポルトガルから輸入する。いずれもトランプ政権の関税対象国だ。

関税の直接の対象はロブスターではない。だが操業に必要な装備や資材の相当数が海外から入る以上、関税負担が最終的に漁師のコスト増につながっているということだ。ブルーベリー農家と林業従事者も包装材と装備価格の上昇で困難に直面していると伝えられた。

こうした「ロブスターの反乱」は11月の中間選挙を前に、共和党のメイン州死守戦略に重荷として働いている。とりわけ民主党は、共和党の重鎮であるスーザン・コリンズ上院議員の落選を目標に総力戦を展開している。

5選のコリンズ議員はワシントン政界を代表する穏健派共和党員とみなされる。コリンズはこれまでトランプ大統領の関税政策に公然と反対の声を上げ、政権に対してメイン州の水産業界への関税負担の緩和を求めてきた。最近はイラン関連の軍事活動を制限する法案に民主党とともに賛成票を投じ、トランプ大統領との差別化に乗り出した。

しかしメイン州有権者の不満を鎮めるには力不足だとの評価が出ている。FTによると、最近の世論調査では民主党候補のグレアム・プラトナーがコリンズを7ポイントリードしていることが示された。

イラク戦参戦軍人でありカキ養殖業者出身のプラトナーは、労働者層を狙った経済ポピュリズムを掲げ、急速に認知度を高めている。ただ、過去のソーシャルメディア投稿と私生活の論争などで物議を醸した経緯があるため、実際の選挙結果にまでつながるかは不透明だとの分析も出ている。

それでもメイン州で表れる民意の変化は、トランプ政権にとって小さくない警告シグナルと受け止められる。かつて最も忠誠度の高い支持層とされた漁師と農民が関税と物価上昇の直撃弾を受け、関税を前面に掲げた「トランプ経済」の政治的コストが本格的に露呈しているとの分析が出ている。FTは「ロブスター漁師の不満がメイン州の上院選のみならず、トランプ政権後半の国政運営にも影響を及ぼしうる」と伝えた。

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