中国企業が相次いで欧州と接する北アフリカの国モロッコに工場を建設しており、欧州連合(EU)の関税を迂回しようとしているのではないかとの懸念が高まっている。

2024年6月、モロッコのタンジェル・メド港で輸出待機中の車両=ロイター/連合

先月31日(現地時間)英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、モロッコの港湾都市タンジェでは500万㎡規模の農業地帯が自動車部品クラスターへと様変わりした。ここではセンチュリータイヤ工場、BTRバッテリー工場、APGブレーキ工場など10余りの中国企業が工場を稼働中、もしくは建設している。

今年タンジェに7000万ドル(約1060億ウォン)規模の工場を設立する予定のAPGのプロジェクト責任者、ツァイ・ジュンジエは、同工場が現地の労働力と資材を中国製部品・技術と組み合わせる方式で運営されるとし、「欧州にある工場の近隣で必要な物品を競争力のある価格で調達できる」と述べた。

タンジェとカサブランカの間に位置するケニトラでも、中国の電池メーカーであるゴーションが13億ドル(約2兆ウォン)規模の大型工場を建設中である。メディ・ララキ・モロッコ・中国商工会議所会長は、新型コロナウイルスのパンデミック以降、中国の投資使節団2〜3チームが毎週モロッコを訪問していると明らかにした。

このような投資ブームに支えられ、モロッコに対する中国の大規模直接投資(FDI)プロジェクトの発表規模は2023〜2025年に約60億ドル(約9兆ウォン)に達する。同期間に中国が支援した北アフリカの投資プロジェクトはモロッコ19件、エジプト9件、アルジェリア6件と集計された。これはアラブ首長国連邦(UAE・3件)、サウジアラビア(2件)、カタール(1件)を大きく上回る水準である。

中国企業が相次いでモロッコに工場を建てる理由は、欧州への輸出が容易な地理的利点に加え、関税負担を抑えられるためである。モロッコはジブラルタル海峡を挟んで欧州と向かい合っている。足元の中東情勢が不安定である点も、中国の投資家の間で北アフリカの魅力を高める要因に挙げられる。

モロッコもまた、法人税5年免除、若年労働力、環境配慮型エネルギーの供給、そしてEUと米国を含む約50カ国と締結した自由貿易協定(FTA)を前面に打ち出し、海外企業の誘致に積極的に乗り出している。

高関税によって中国車の欧州市場侵食を食い止めようとしてきたEUにとっては難しい局面である。EUは中国政府の電気自動車産業に対する補助金の調査結果を踏まえ、中国製EVに最大45%の関税を課している。しかし中国企業の生産品がモロッコ産として認められる場合、無関税でEU市場に参入できる。

マロシュ・シェフチョヴィチEU貿易・経済安全保障担当委員はFTのインタビューで、中国企業のモロッコ投資は中国の過剰生産問題を解消するために対欧輸出品を第三国経由で迂回輸出しようとする試みである可能性があるとし、「欧州にとって非常に大きな問題になっている」と述べた。

欧州ではすでに中国企業の関税回避戦略に対する問題提起が続いてきた。代表的な事例が、昨年EUがモロッコ産の車両用アルミホイールに相殺関税を課したことだ。EUは当該製品がモロッコだけでなく中国の一帯一路政策と連携した不公正な補助金の恩恵を受けたと判断した。

しかし中国企業がモロッコを関税回避のための輸出拠点として活用したとしても、これを規制するのは容易ではない。ルノーやステランティスなど欧州の自動車メーカーもまたモロッコで大規模な生産施設を運営しているためだ。EU当局者はFTに対し、中国とモロッコの協力が実質的な産業協力なのか、それともEU関税を迂回するための戦略なのかを区別するのも容易ではないと語った。

EUが欧州製造業の競争力強化を目的に進めている産業加速化法案(IAA)で、モロッコを欧州産と同等の扱いを受ける原産地として認めるかどうかが、今後の重要な試金石になる見通しだ。同法案は、自動車・鉄鋼・セメント・アルミニウムなどの戦略産業と風力タービンなど環境配慮型産業の公共調達および補助金支給の過程で「域内製造」要件を適用する内容を盛り込んでいる。中国はこれに強く反発している。

ロンドン所在のグローバル政策研究所の国際貿易責任者であるボブ・サヴィックは、「中国製の中間財が北アフリカに運ばれた後、限定的な加工工程を経て、特恵貿易協定に基づきEUへ輸出されている」とし、「中国依存度を下げようとするEUの『ディリスキング(de-risking・リスク低減)』戦略と、中国の『オフショアリング(offshoring・産業の海外移転)』戦略がこの地域でかみ合い、北アフリカが一段と熾烈な経済的競争の舞台として浮上し得る」と評価した。

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