イランと終戦交渉を進めているドナルド・トランプ米国大統領がサウジアラビア、カタールなど主要湾岸諸国に対し、イスラエルとの関係正常化協定である「アブラハム合意」への参加を公然と要求し、その背景に関心が集まっている。

25日(現地時間)のドナルド・トランプ米大統領/EPA=聯合

トランプ大統領は25日(現地時間)、ソーシャルメディア(SNS)トゥルースソーシャルに投稿した文で、イランとの交渉が「順調に進んでいる」とし、「この非常に複雑なパズルを完成させるためには、少なくともすべての国家が同時にアブラハム合意に署名するよう義務化しなければならない」と明らかにした。

トランプ大統領が言及した国家はサウジ、アラブ首長国連邦(UAE)、カタール、チュルキエ、エジプト、ヨルダン、バーレーン、パキスタンなどイラン周辺国だ。トランプ大統領は「一、二カ国程度は署名できない理由があるかもしれず、それも受け入れられる」としつつも、「大多数の国家は、イランとの今回の合意を歴史的事件にする準備と意志、能力を備えなければならない」と圧力をかけた。

トランプ大統領が突如アブラハム合意を持ち出した背景としては政治的計算が挙げられる。最近、米国とイランがホルムズ海峡を優先的に開放し、核問題は今後30〜60日間追加交渉を継続することで暫定合意したとの知らせが伝わる中、共和党内の親イスラエル強硬派を中心に批判が拡散した。トランプ大統領の側近とされるリンジー・グラハム共和党上院議員は「こうなるなら、そもそも戦争をなぜ始めたのか疑問だ」と語った。

このため、トランプ大統領がアブラハム合意の拡大を通じて共和党内強硬派の宥和に動いたとの分析が出ている。ブルームバーグ通信は「トランプの発言は、イランにいかなる譲歩もしてはならないと主張してきたリンジー・グラハム上院議員など米国内の対イラン強硬派を宥める意図である可能性がある」と評価した。

ニューヨーク・タイムズ(NYT)も「トランプ大統領はホワイトハウス復帰以降、より多くの国家をアブラハム合意に参加させるために努めてきた」とし、「合意の拡大は、イランとの和平交渉を批判してきた共和党内の強硬派を宥和する効果を生む可能性がある」と伝えた。実際にグラハム議員はトランプ大統領の構想について「数千年ぶりに中東にもたらされる最も重大な変化となるだろう」と呼応した。

アブラハム合意はトランプ第1期政権時の2020年、米国の仲介の下、イスラエルとアラブ諸国間の関係正常化のために締結された合意だ。UAEとバーレーンが当時合意に参加した。合意加入国ではないが、エジプトとヨルダンもすでにイスラエルを公式に承認している。これに対し、これらを除く大多数の湾岸諸国はパレスチナ国家樹立まではイスラエルを承認できないとの立場を維持してきた。

トランプ大統領がアブラハム合意の拡大を通じてイランとの合意の成果を際立たせようとしているとの解釈もある。国際危機グループ(ICG)のイラン・プロジェクト責任者であるアリ・バエズはロイター通信に「トランプはイランとの合意を『アブラハム合意シーズン2』として包装しようとしている」とし、「これはイスラエルにとっても中東にとっても良く、米国の立場からも十分に強硬なアプローチに見せようとするものだ」と述べた。

続けて「トランプはイランを屈服させられるという幻想の代わりに、不安定な合意が新たな中東秩序の土台になり得るという別の幻想に依拠している」と評価した。

ただし、湾岸諸国が実際にアブラハム合意に同調するかは不透明だ。イラン、レバノン、ガザ地区など中東各地で紛争が続く状況で、湾岸諸国がイランの外交路線と相反するアブラハム合意を公に支持するのは容易ではないためだ。イランは公式にイスラエルの消滅とパレスチナ国家樹立を目標に掲げている。

ロイター通信は「パキスタンはこの提案を拒否し、他の国家も現時点までトランプ大統領の要求に公に反応していない」とし、「ガザ地区でイスラエルが行った大規模な軍事作戦への反感により、ムスリム諸国の間でイスラエルに対する不信が依然として大きいだけに、前向きな回答が出る可能性は低いとみられる」と伝えた。

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