中国版バレンタインデーである5月20日の風景が変化している。過去に花束や高額の贈り物、高級レストラン予約で象徴された「520特需」が鈍るなか、中国のソーシャルメディア(SNS)では「恋愛認証の減少現象」が熱い話題に浮上した。景気減速の中で消費が落ち込み、若年層の価値観の変化が重なった結果とみられる。
中国で5月20日は代表的な恋人の日だ。数字520の中国語発音「ウーアーリン」が「ウォーアイニー(我爱你・愛している)」と似ていることに由来する。毎年5月20日になると、恋人同士が花束や貴金属、ブランド品などを贈ったり、「愛している」という意味を込めて520元(約11万5000ウォン)のホンバオ(红包・オンライン送金)を送る文化が流行してきた。SNSには認証写真が大量に投稿され、いわゆる「ロマンス経済」の特需を牽引してきた。
しかし20日夜、ウェイボー(微博)では「なぜSNSで520認証が減ったのか」というキーワードがリアルタイム話題ランキング1位に上がった。利用者は当該ハッシュタグを付けて「5月20日になると花の値段やレストラン価格が途方もなく高くなる『ロマンス税』を払いたくない」といった反応を次々と示した。
こうした雰囲気の変化の背景には中国の消費低迷がある。中国国家統計局によると、4月の小売売上高は前年同月比0.2%増にとどまり、2022年12月以降で最も低い伸びを記録した。2%増を見込んだ市場予想も大きく下回った。特に低価格消費が中心のコンビニエンスストアやスーパーマーケットは販売が増え、高価格中心の百貨店やブランド専門店は販売が減った。不動産市況の低迷と若年層の就職難が続くなか、消費者が財布のひもを締め始め、誇示的消費の代表格だった「520特需」も以前のようではなくなったとの評価だ。
代表的な恋人間の贈り物である貴金属の消費動向も変わっている。中国黄金協会の統計によると、今年第1四半期の中国の金アクセサリー消費は前年同期比37.1%減少した。一方で金地金・金貨の消費は46.4%急増した。単なる装飾用消費よりも資産増殖を目指す投資性の消費が強まっていると解釈できる。ある貴金属店の関係者は現地メディアのシナ財経に「以前の若年層は贈り物のために金のネックレスや指輪を買ったが、最近の若年層は同じ金額なら金塊を買うほうがより現実的だと考える」と語った。
オンラインでは若い世代の価値観の変化を示す反応も相次いだ。高価な贈り物やSNS認証で関係を誇示する文化に疲労感を覚え、日常の満足と現実的な消費を重視する雰囲気が広がっている。
あるウェイボー利用者は「オンラインで520認証が消えた理由は、恋人たちが高価な贈り物をやり取りするより、ソファにゆったり座っておいしいものを食べるほうが良いと分かったからだ」と記し、別の利用者は「手間をかけて撮るカップル写真や競い合うような送金文化は、SNSで見せるだけの浪費に感じられる」と書いた。このほかにも「恋愛したり結婚するカップルを見ても羨ましい気持ちは全く湧かない。オンラインでの愛情表現は意味を失ったようだ」「最近の人はデートさえしたがらないのに、520を記念するだろうか」といった意見も多かった。
オンラインでは520に向き合う若年層の現実を自嘲するミーム(meme・インターネット流行)も拡散している。中国のSNSで520関連のキーワードを検索すると、恋人の贈り物認証写真よりも「520が何かって?5日働き、2日残業し、0日休む」「520に何するのかと聞かないで、出勤しないと」などの文言が入った画像がより頻繁に共有され、共感を集めている様子がうかがえる。
シナ財経は「市場はこれまで恋人たちの記念日消費をあおってきたが、若年層はもはやこの方式に反応しない雰囲気だ」とし、「若年層にとって520のような人工的な記念日は徐々に魅力を失っている」と伝えた。