米国が戦争や大規模危機が発生した際にNATO(北大西洋条約機構)に送ると約束した米軍兵力を削減する作業に着手した。
ドイツ駐留米軍5000人の削減やポーランドへの循環配備中止は平時の部隊運用の問題だった。今や実際に戦争が起きた場合にも米国が負うことにした比重そのものが小さくなる。米国が欧州防衛の主役から核の傘の提供者へと一歩引くシグナルだとの分析が出た。
19日(現地時間)ロイターは事情に詳しい関係者3人を引用し「トランプ政権が今週中にNATO同盟国に対し、危機発生時の欧州防衛に動員する米軍能力を縮小することにした」と伝えた。米国はこの日、ベルギー・ブリュッセルで開かれたNATO国防政策責任者会議でこの方針を同盟国に伝達した。
NATOには加盟国が戦争や危機状況に置かれた場合に即時に抽出すると約束した兵力と装備の名簿が存在する。これをNATOフォースモデル(NATO Force Model)と呼ぶ。NATOは2022年にロシアがウクライナに侵攻すると、その直後に開かれたマドリード首脳会議でこの体制を新たに作った。NATO加盟国は、それぞれ戦争が起きたら数日以内に兵力を何人送るか、どの軍事装備をどれだけ動員するかを事前に登録しなければならない。NATOは実際に危機が訪れればこの名簿に従い、約束された戦力を順に呼び出して配備することにした。
NATOによるとこの名簿はスピードに応じて3段階に分かれる。戦争のような危機が勃発すると、NATOは10日以内に10万人を即応戦力として即時投入する。続く第2段階として10日から30日の間に稼働可能な30万人を確保した。名簿によれば30日から180日以内に動員可能な兵力は50万人水準である。
米国はこのうち、戦争勃発時に最初に戦場に投入される第1段階の即応戦力で中核を担った。即応戦力には、開戦初期に圧倒的な戦力で相手を制圧するため、空母戦団、爆撃機、空中給油機、戦略輸送機、偵察衛星などが入る。米国なしで欧州加盟国だけでは揃えにくい先端アセットが相当数だ。米国がこの名簿で自国分量を減らせば、平時の駐留米軍規模が維持されても、戦時に自動参戦する米軍が減る。危機の最初の数日以内に欧州へ雪崩れ込むはずの米軍支援が、事前約束の段階から減るという意味に解される。
米国ではエルブリッジ・コルビー国防総省政策次官室がこの政策を主導したとされる。コルビー次官はトランプ2期の国防戦略を策定した中核人物だ。平素からコルビー次官は、トランプ2期の国防戦略で中国けん制に米軍資源を集中すべきだと主張してきた。欧州の在来式防衛の負担は欧州同盟にさらに委ねるべきだというのがコルビー次官の一貫した意見である。
ただしコルビー次官は19日「欧州同盟が在来式戦力の主導権を持っていくとしても、米国はNATO加盟国の保護のため核兵器を引き続き使用する」と明らかにした。ロシア地上軍と対峙する在来式戦争の負担は欧州が自らより多く背負う一方、米国は核の傘を引き続き提供するという意味に解される。ロイターは「NATOフォースモデルの調整が7月のトゥルキエNATO首脳会議を前にコルビーチームの核心課題として浮上した」と伝えた。
欧州の同盟国は即座に反発した。NATO加盟国は2025年ハーグ首脳会議で合意した防衛費支出目標の履行を加速している。ポーランドとバルト3国は2022年のウクライナ戦争以降、地上戦能力を引き上げた。ポーランドはすでにGDP比4.48%を国防費として執行中だ。米国の3.2%に比べ絶対額は少ないが、比率はより高い。ドイツも同じNATO加盟国であるカナダが主導するラトビア多国籍旅団とは別に、リトアニアに新規旅団を構築している。ドイツは現在1000億ユーロ(約156兆ウォン)を特別基金として軍戦力拡充に乗り出した。
しかし目先で国防支出を増やしても、戦争に投入する戦力を引き渡され実戦に投入するまでには相当な時間がかかる見通しだ。ドイツが発注したレオパルト2 A8戦車105両は2030年になってようやく引き渡しを終える予定だ。戦闘機・防空網は生産待機と操縦士・整備要員の養成まで考慮すると戦力化まで数年を要する。特に長距離精密打撃、戦略輸送、情報・監視・偵察、空中給油、指揮統制、防空網、弾薬備蓄といった中核分野で米国依存度は依然として絶対的だ。ピエール・バンディエNATO最高変革司令官は19日、ブリュッセルの記者会見で「速度、量、ソフトウエア、ドローン、電子戦、宇宙、データ分野はわれわれがやるべきことが多い」と述べ、「今より多くやるだけでは十分ではない」と語った。