12日米国ニューヨーク株式市場は物価上昇への懸念と中東発の地政学的危機が重なり、まちまちの展開で取引を終えた。ダウ・ジョーンズ工業株30種平均は小幅高となったが、ハイテク株中心のナスダック総合指数と大型株中心のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)500指数は軟調だった。
この日ダウ・ジョーンズ指数は前営業日比56.09ポイント(0.11%)高の4万9364.68で取引を終えた。これに対しS&P500指数は0.16%安の2787.46となり、史上最高値を更新した前日の上昇基調を維持できなかった。ナスダック総合指数も0.71%下落の7098.39で取引を終えた。
この日米労働統計局は、4月の消費者物価指数(CPI)が前年同月比3.8%上昇したと発表した。これは2023年5月以来で最も高い上昇率である。エネルギーと食品を除くコア物価も2.8%上昇し、物価安定に対する市場の懸念を刺激した。
専門家らは物価を再び押し上げた主因として原油価格を挙げている。イランは戦後賠償金の支払いとともに、グローバルな原油輸送と海上物流の要衝であるホルムズ海峡に対する完全な主権の承認、経済制裁の解除などを要求している。紛争の長期化観測からウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は4.19%急騰し、1バレル=102.18ドルまで上昇した。ブレント原油も107ドル台を突破した。スカイラー・ワイナンド・リーガン・キャピタルの専門家は「中東の紛争が継続するなか、強固に高止まりする原油価格が今年残りの期間のインフレ論議を主導するだろう」と分析した。
物価不安はこれまで相場を牽引してきた半導体企業の株価にも悪影響を及ぼした。直近6週間で約70%急騰していたチップメーカーの株価は、この日ほとんどにブレーキがかかった。前日に相場上昇を主導したマイクロン・テクノロジーは一転して1日で4%超急落した。クアルコムは13%暴落し、インテルも8%下落した。アドバンスト・マイクロ・デバイシズ(AMD)も3%下落した。
ウォール街内部ではバリュエーション(業績に対する株価水準)の割高感に対する負担も指摘される。ヘッジファンドのグリーンライト・キャピタルを率いるデービッド・アインホーンは「市場は数年間にわたり非常に割高だと考えてきた」とし、「株式は歴史的な基準から見ても依然として非常に高い」と指摘した。
高インフレの固定化懸念から、米国の中央銀行である連邦準備制度(FRB)の利下げ期待もややしぼむ様相だ。エレン・ジェントナー・モルガン・スタンレー・ウェルス・マネジメントの専門家は「コア物価の上昇は高いエネルギー価格が経済全般に浸透していることを示している」と述べ、「FRBが当面ハト派(金融緩和志向)的な姿勢に戻ることはないだろう」と展望した。
個別企業の大型合併・買収(M&A)に関するニュースも相場のボラティリティを高めた。ビデオゲーム小売業のゲームストップの株価は4%以上下落した。電子商取引のイーベイはこの日、ゲームストップが提案した560億ドル規模の買収案を資金調達の不確実性を理由に拒否した。一方、ファストフードチェーンのウェンディーズは、ネルソン・ペルツが率いるアクティビストファンドのトライアン・ファンド・マネジメントが非公開化に向け資金調達に動いたとの報道を受け、9%超急騰した。