中東戦争の余波で世界的な原油の需給が揺らぐなか、米テキサス州のコーパスクリスティ港が前例のない取扱量を記録している。
同港は戦争以前にもサウジのラスタヌラ、イラクのバスラに次ぐ世界3位の原油輸出拠点だったが、ホルムズ海峡の封鎖で中東の主要輸出港が事実上機能を失い、役割が一段と大きくなった。
4日、市場調査会社ケプラーによると、米国の原油輸出量は4月に1日あたり520万バレルで、戦争以前の2月(390万バレル)より30%以上増加した。コーパスクリスティ港はこのうちおよそ半分を処理している。
港湾運営会社によれば、3月の1カ月の船舶入港は240隻を超え、平時(約200隻)を大きく上回った。超大型原油タンカー(VLCC)も1日50〜60隻規模で、前年比でほぼ倍増した。港湾側はCNBCに「タンカーが絶え間なく出入りする状況だ」と明らかにした。
こうした需要急増はアジアの需要変化と結びついている。これまで中東産原油に依存してきたアジア各国がホルムズ海峡が事実上ふさがると米国産原油に目を向けたためだ。ケプラーのマット・スミス研究員は「アジア市場は確保可能な数量を選ばず買い付ける状況だ」と述べ、「とりわけ米国の軽質油(light sweet crude)の需要が急増した」と説明した。
ただし、この流れが長期的に続くのは難しいとの見方が支配的だ。最大の理由は原油の性状差である。米国産の軽質油は硫黄分が低く軽い一方で、中東産原油は相対的に重く硫黄分が高い「重質油」だ。多くのアジアの製油設備は重質油の処理に最適化されており、米国産原油は完全な代替材にはなりにくい。
物流インフラも制約要因だ。現在、米国の原油輸出は1日500万バレル前半が事実上の上限とされる。コーパスクリスティ港もパイプライン容量の制約で1日約260万バレル水準で処理能力が限られる。港湾側はパイプラインが拡充されれば、さらに1日50万バレル程度の拡大余地があるとみている。
中南米や西アフリカ産原油が一部の代替供給源の役割を果たすことはできるが、中東の空白を埋めるには力不足との評価も出ている。戦争以前の基準で世界の原油物流の約20%がホルムズ海峡を通過していたためだ。
スミス研究員は「中東の供給の空白は他地域で完全に代替できる規模ではない」とし、「結局は海峡の安定と中東の供給正常化が解決策にならざるを得ない」と語った。