ウォール街の大手銀行シティグループが5,000万ドル(約700億ウォン)に達する破格の報酬で招いた中核幹部が、前職で事実上の退職通告を受けた直後に競合他社へ移った事実が明らかになり、論争になっている。
29日(現地時間)の英フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、シティグループが2024年にビス・ラガヴァンの招聘を発表するわずか3日前に、JPモルガン・チェースはラガヴァンに解雇を通告した。数年間続いたラガヴァンの高圧的なマネジメントスタイルと不適切な言動に対する社内不満が限界に達したという経営陣の判断によるものだ。
当時JPモルガンは翌週月曜日にラガヴァンのポスト解任を公式発表する予定だった。しかしラガヴァンは週末の間にシティグループと秘密裏に接触し、採用を確定させたと伝えられている。FTは「月曜日朝にシティグループがラガヴァンの招聘を発表したことで、退職は『更迭』ではなく『競合への電撃移籍』として受け止められることになった」と伝えた。当時ジェーン・フレーザーシティグループ最高経営責任者(CEO)は、ラガヴァンを新任銀行頭取として採用すると明らかにし「最高の人材を誘致した事例だ」と強調した。シティグループは当時外部ヘッドハンティング会社を通じて投資銀行部門のトップを物色していたが、ラガヴァンはこの手続きを経ずに経営陣と直接交渉したとされる。
JPモルガンでラガヴァンは評価が極端に分かれる人物だった。20年以上勤務し、欧州投資銀行事業を成功させた功績でグローバル投資銀行部門の単独トップにまで上り詰めた中核人材だ。強い推進力と成果で組織を引き上げたとの評価を受ける。
一方で、社員を公然と叱責し攻撃的な言葉遣いをするなど「ハラスメント型リーダー」との批判も継続的に提起されてきた。ラガヴァンはこうしたリーダーシップ問題で2度の内部調査を受けた経緯がある。親族採用禁止の原則に反して家族を入社させた事実も論争になった。こうした問題によりJPモルガンは一時、ラガヴァンの給与を減額したことがあるとFTは伝えた。
論争にもかかわらず、シティグループ内でラガヴァンの実績は肯定的に評価される。ラガヴァンはシティグループ銀行頭取に就任後、ゴールドマン・サックスなど競合から人材を大量に引き抜いて組織を再編し、シティの投資銀行部門は最近、過去最大水準の売上高を記録した。株価も金融危機以降の最高水準に近づいた。
ただし金融圏の一部では懸念の声も出ている。組織文化の改善を進める中で、前職でリーダーシップ問題により退場となった人物を次期最高経営責任者(CEO)候補群として取り沙汰するのが適切かという指摘だ。
シティグループ側は「ラガヴァンは実績が検証されたリーダーだ」とし「徹底した社内検証を経て採用を決定した」と明らかにした。一方、匿名を求めた前職の同僚らは「一時的に態度が和らぐことはあっても、結局同じ問題が繰り返されるだろう」と述べた。