米国とイランの停戦交渉で仲介役を担ったパキスタンが交渉準備を理由に都市全域にわたる統制に踏み切ると、不便を強いられた住民の不満が爆発した。
26日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ(NYT)は「ドナルド・トランプ米大統領が米国交渉団のイスラマバード訪問を取り消し、都市が再び門戸を開くと、住民と商店主は封鎖された地域や閉めていた店から出てきて口をそろえて不満を吐露した」と伝えた。
中東専門メディアのアラブニュース(Arab News)も「イスラマバード当局が実施した広範な保安措置には道路封鎖や大型輸送手段の運行禁止が含まれ、住民に大きな不便をもたらした」としつつ、「住民と企業は統制期間中、新鮮食品の不足や日常生活の支障を経験した」と報じた。
NYTによると、パキスタン政府は米国とイランの2次交渉を準備する過程で、11日に1次会談が開かれたセレナホテルを空にし、周辺約3.2kmの区域を再び封鎖した。これによりホテル近隣の個人病院、飲食店、事務所、銀行など数千の民間施設が別途の金銭的補償なしに営業を中断せざるを得なかった。
しかし25日、交渉のためイスラマバードに滞在していたイランの外務大臣アッバス・アラグチが米国による対イラン海上封鎖に反発してパキスタンを離れ、続いてトランプ大統領も米代表団のパキスタン訪問を取り消すと明らかにし、2次交渉は霧散した。これを受けパキスタン政府はセレナホテル周辺で実施していた大半の封鎖措置を25日付で解除した。
イスラム国家であるパキスタンでは、宗教団体が主導するデモや座り込みを防ぐため当局がしばしば封鎖措置を取ってきた。高速道路の遮断や商店の閉鎖、サービスの中断などは首都イスラマバードの市民にとって見慣れた光景だった。しかし第三国間の外交交渉のために封鎖措置に直面し、その経済的損失まで背負わされる状況は、多くの市民にとって容易に受け入れがたいことだったとNYTは伝えた。
茶店のマネージャー、アブドゥル・ハクは今回の封鎖で約1,800ドル(約265万円)に達する売上損失を被ったとし、「結局、何も起きなかった状況のせいで皆が被害を受けた。いったい何のために店を閉めねばならなかったのか」と反問した。オートバイタクシー運転手のムハンマド・タンビルは「都市を封鎖しておきながら何の成果も得られなかった」と批判した。
封鎖による被害は全方位的だった。警察が大型貨物車の流入を阻止し、約250万人の市民に物品を供給する商人は荷を小型車両に積み替えねばならなかった。これはホルムズ海峡の封鎖で既に燃料費が上昇している状況下で、追加的なコスト負担につながった。
またセレナホテルで予定されていた米・イラン会談のため、欧州連合(EU)は数百人が参加予定だった2日間のビジネスイベントを別の場所に移さねばならなかった。一部の道路や学校はもちろん、ファイザバード・バスターミナルや人気のハイキングコースなどは、封鎖解除後も依然として統制が続いていると伝えられた。
米国とイランの交渉の火種が残っている以上、パキスタン住民の追加被害も予想される。元パキスタン駐米・国連大使のマリハ・ロディは「2次会談が開けなかったのはパキスタンの仲介者にとって失望すべき事態だった」としつつも、「ワシントンもイランも外交の扉を完全に閉ざしたわけではないため、仲介者が努力を放棄することはないだろう」と述べた。