19日午前7時30分(現地時間)、1万2000人のマラソンランナーが集結したベイジン・イージュワン(亦庄)のある公園。ハーフマラソン大会の開始を告げる音楽とともにスタートの掛け声が響くと、先頭集団に立った数千人のランナーが一斉に走り始めた。
マラソンランナーより目を引いたのは、圧倒的な速度で追い抜いていく赤いヒューマノイド(人型ロボット)「サンディエン(闪电)」だった。人波に隠れてスタートラインでは見えなかったサンディエンは、スタートと同時に約10秒で視界から消えた。稲妻を意味する名の通り矢のようにトラックを疾走すると、予想をはるかに上回る速さに観客席からは驚き交じりのどよめきが上がった。トラックを走っていたランナーは足を緩め、携帯電話を取り出して写真を撮る姿も見られた。
その後、約30秒間隔で104台のヒューマノイドがスタートラインを後にした。複数のサンディエンが相次いで走り、昨年大会の優勝モデルであるベイジンヒューマノイドロボットイノベーションセンターの「ティエンゴン(天工)」や、中国の代表的なヒューマノイド企業であるユニトリー(宇树科技・Unitree)の製品も目立った。特徴的なカツラや帽子、衣装で装いを凝らしたヒューマノイドもいた。
◇ 今年の主役は「サンディエン」…ファーウェイ分社の企業が開発
優勝の知らせは競技開始から50分で伝わった。圧倒的な速度と安定感で観衆を驚かせたサンディエンだった。チーティエンダーシェン(齐天大圣)チームが自律走行で21.0975kmを50分26秒で完走した。速度だけを見れば、ポーフォン・サンディエン(破风闪电)チームが同一モデルで48分の記録を出したが、遠隔操作で出場したため時間に20%の加重が適用され優勝を逃した。
2位と3位もサンディエンで、レイティン・サンディエン(雷霆闪电)チームとシンフォ・リャオユエン(星火燎原)チームがそれぞれ50分56秒と53分01秒の記録を出した。これは昨年の1位記録(2時間40分)を2倍以上短縮したもので、人間の記録よりも速い水準だ。サンディエンは過去にファーウェイ系であったアナー(honor)が開発したヒューマノイドで、身長169cmで自律走行機能を備えるのが特徴である。今年の大会に初出場した。
◇ より難度が増したトラックで自律走行技術を競う
今年で2回目を迎えた大会は、昨年に比べ規模と性能の双方で目に見えて向上した。完走すら容易でなかった昨年とは異なり、今年は約半数のチームが完走に成功した。昨年は20台余りにとどまった出場ロボット数は今年105台に増え、このうち43チームが自律走行でトラックを走った。主催側は自律走行を奨励するため、遠隔操作チームに時間加重を付与するペナルティを適用した。速度そのものよりも人間の介入なしに走行する能力を重視して評価する趣旨だ。
トラックの難度も上がった。アスファルトの平地だけでなく、上り坂、下り坂、砂利道、芝生の道などが追加され、最大90度に達するカーブ区間もトラックに含まれた。このためコーナリングに失敗して転倒したヒューマノイドが自力で起き上がれず、小型クレーンにつるされて引き出される場面も捉えられた。
観衆と取材陣の熱気も高かった。大会開始の1時間30分前である午前6時ごろから数百人の取材陣が集まり、見通しの良い場所を確保するための駆け引きも繰り広げられた。ベイジンだけでなく、シャンハイなど各地域の放送局も会場に足を運んだ。観客席にはカメラを手に動画を撮影し、リアルタイムのライブ配信を行うインフルエンサーも多数目立った。
学生応援団を率いて会場を訪れた教師のシン姓の人物は「昨年より大衆的な関心が大きく高まったと感じる。昨年はイージュワンのローカル行事のような性格だったが、今年は全国的に関心を集めているようだ」と述べ、「大会に参加したロボットも性能と規模の面で昨年より大きく進化したようだ。子どもたちに科学技術の進展の現場を見せられる点が励みになる」と語った。