米国とイスラエルがイランと2週間の休戦に入る中、イスラエル内部では今回の休戦協定に対する懐疑論が広がっている。2年半を超えて続いた戦争で国民的疲労感は極限に達したが、敵対勢力を確実に制圧できていない状況での拙速な休戦はかえって安全保障を脅かしかねないとの認識が広がっているとの分析が出ている。
エルサレム・ヘブライ大学が9〜10日に実施した世論調査によると、回答者の約3分の2(67%)は現在のイランとの休戦に反対だと答えた。多数の回答者は、今回の軍事作戦がイランとレバノンの武装政派ヒズボラを十分に弱体化させられなかったと評価し、ヒズボラが武装を放棄しない限りレバノンでの戦闘を中断してはならないとの意見を示した。
ベンヤミン・ネタニヤフイスラエル首相は今回の空爆を「中東の版図を変えた巨大な成果」だと強調しているが、世論の反応は冷ややかな様子だ。イラン核施設の無力化や政権交代など、戦争初期に掲げた戦略目標のうち実質的に達成されたものはないとの批判が野党を中心に提起されている。
テルアビブ中心部で最近のミサイル攻撃被害を受けたアパートに居住するリアト・ズビは英BBC放送に「すでに2年半の間戦争をしてきたのに、今回の衝突も結局はもう一つの戦争のように感じられるだけだ」と述べ、「先のことを考えることすら難しい」と語った。実際の世論調査でも、回答者の3分の1が現在の感情を「絶望」だと答え、「混乱」と「怒り」がそれに続いた。
今年の総選挙を前にイスラエル政界にも変化の兆しがみられる。BBC放送によると一部の世論調査でネタニヤフ首相の支持率は低下した一方、競争相手のナフタリ・ベネット前首相の支持率は上昇した。与党連合と野党がそれぞれ約40%水準で拮抗している。議会(クネセト)構成でもネタニヤフのリクードは引き続き第1党を維持するが、過半数確保は難しいとの見方が出ている。
総選挙は予定どおりなら来る9〜10月に実施される可能性が高いが、最近の中東情勢が急激に揺れ動いているだけに、今後の状況は依然として予測しがたいとの分析が支配的だ。専門家は、ネタニヤフ首相が自身の司法リスクを突破し政治的生命を延命するため、戦争継続の可能性も排除できないとみている。ネタニヤフ首相は2019年に賄賂収受と背任容疑で起訴されたが、安全保障状況などを理由に公判が遅れ、6年目の現在も結論が出ていない。
ただしネタニヤフ首相が公判再開で失脚するか総選挙で敗北したとしても、対イラン強硬路線は大きく変わらないとの見方が多い。イスラエル政界全般でイランを存在的脅威とみる認識が強く、現与党連合よりもさらに強硬な右派勢力も少なくないためだ。