米国の合計特殊出生率が再び過去最低を更新し、人口維持ラインの崩壊懸念が高まっている。出産時期が30代以降へと後ろ倒しになる流れが鮮明になり、人口を維持するための最小基準さえ脅かされているとの分析が出ている。
米国疾病対策予防センター(CDC)傘下の国立保健統計センター(NCHS)によると、2025年の米国の出生率(15〜44歳女性1000人当たり出生児数)は53.1人となった。前年(53.8人)より0.7人減少し、関連統計の集計開始以降で最も低い水準である。同年の出生児総数は360万6400人で、前年より1%減少した。
米国の出生率はミレニアル世代が本格的に出産年齢に入った2007年以降、下落傾向を続けてきた。ニューヨーク・タイムズ(NYT)はこれを「人口学的ミステリー」とし、下落が続く理由をめぐり多様な解釈が出ていると伝えた。
◇ 10代・20代は減り、30代は増えた
最も目立つ変化は「出産年齢の移動」だ。10代と20代の出生率は急速に低下する一方、30代と40代はむしろ増加する流れがみられている。昨年の15〜19歳女性の出生率は11.7人で、前年対比7%減少した。10代の出生率は1991年にピークを付けて以来、着実に下落してきた。20代の出生率も減少傾向を続けた。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、こうした変化について、出産が消えたのではなく後ろへ押し出されている現象だと分析した。
最近では30代後半女性の出生率が20代前半を上回る現象まで現れた。出産の重心が20代から30代以降へと移っているということだ。
◇ なぜ20代は産む数が減り、30代は増えるのか
専門家はこの現象を「出産減少」ではなく「出産の先送り」と解釈する。実際には多くの女性が出産自体を放棄したというより、時期を遅らせているということだ。
最大の理由は経済的負担だ。住居費や養育費、学生ローンが重なり、20代で出産を決断しにくくなっているとの分析だ。安定した職と所得を確保してから出産を考える傾向が鮮明になっている。結婚の晩婚化も影響する。平均初婚年齢の上昇と関係の安定性への考慮が重なり、出産時期も併せて遅くなっている。
ウェンディ・マニング・ボーリンググリーン州立大学教授は「人々は親になる時期を遅らせている」と述べ、「生活基盤が安定したかを確認しようとする傾向が強い」と語った。
これに、過去に10代の出産を減らすための政策も影響したとの分析が出ている。ノースカロライナ大学人口センターのカレン・グーツー所長は「米国は長らく早期の出産を抑制してきた」と述べ、「早く産むのは望ましくないという認識が社会全般に根付いた」と説明した。
◇ 「遅く産めば結局、産む数は減る」
問題は、出産の先送りが結局は出産減少につながる可能性が大きい点だ。出産時期を遅らせるほど、実際の子どもの数は減る傾向があるためだ。
NYTによると、2007〜2019年の米国の出生率低下の37%は、黒人・ヒスパニック・白人の青少年の出生率減少に由来することが分かった。また、学士学位を持たない20〜24歳の白人女性の出生率の低下も、全体の下落に大きく影響した。
現在、米国の人口は依然として増加しているが、増加速度は鈍化している。低い出生率と移民の減少が同時に作用した結果だ。
一部の専門家は、出産の先送りが長期化すれば人口構造の健全性を回復しにくくなる可能性があると指摘する。出産を遅らせる流れが固定化すれば、人口減少は避けがたいとの警告が出ている。