米農務省(USDA)長官が復活祭に合わせ、職員に露骨なキリスト教メッセージを盛り込んだ電子メールを送信したことが分かった。これにより、ドナルド・トランプ政権下で憲法上の政教分離原則が揺らいでいるとの論争が再燃する様相だ。
6日(現地時間)、ブルック・ローリンズ米農務省長官は前日の復活祭を記念し、農務省所属の連邦公務員約10万人に祝賀メールを送信した。「幸せな復活祭を」との通例の文句で口火を切ったこのメールには、「今日われわれは全人類の永遠の希望であるイエスの復活を記念する」「神はわれわれ一人ひとりに勝利と新しい命を与えた」など、直接的なキリスト教教義の文言が挿入されていたことが判明した。
農務省内部では即時の反発が噴出したとみられる。ワシントン・ポスト(WP)によると、匿名を求めた職員4人は「省のトップがこのような形で宗教的メッセージを発信するのは前例がない」として不快感を訴えた。15年の経歴を持つある職員は「政府機関で勤務してきて、これほど露骨なメールは初めて見る」とし、「キリスト教信徒ではない職員にはメッセージが強要として受け止められている」と指摘した。
実際に政府の主要官僚がこの種のメッセージを送ったのは極めて異例の事例と評価される。ジェームズ・ネルソン米ヒューストン大学ロースクール教授はこれをめぐり「クリントン政権時代に策定された『政府の特定宗教支持禁止』ガイダンスに違反した可能性がある」とし、「上級者の宗教的表現は職員に事実上の圧力として作用し得るためだ」と説明した。
トランプ2期政権下で主要省庁の宗教的表現が目立って増えているとの指摘が出ている。今回の復活祭に合わせ、国務省・教育省・エネルギー省・保健福祉省などは相次いで公式ソーシャルメディア(SNS)に祝賀メッセージを発表したが、国土安全保障省は「救世主の犠牲を想起する」と投稿し、住宅都市開発省も「復活した救世主への希望」に言及するなど、発言の宗教的な度合いが過度だという評価だ。
先にピート・ヘグセス国防長官も、就任後に軍内の宗教中立原則を崩しているとの批判が提起された。ヘグセス長官はペンタゴン(国防総省庁舎)内で毎月、福音派の礼拝を開催し、SNSで反キリスト教勢力を「敵」と明示した文言を共有した。また、開戦直前に国防総省で行った祈りで「慈悲を受ける資格のない者たちに圧倒的な暴力を行使できるよう願う」とした発言も、宗教的イデオロギーを戦争の正当化に用いるとの理由で俎上に載った。
こうした流れは、昨年8月に連邦人事管理局(OPM)が連邦公務員の自由な宗教的表現を保障する新指針を発表したことと軌を一にする。指針によれば、連邦公務員は合衆国憲法修正第1条の表現・宗教の自由と公民権法に基づき、▲勤務中に宗教について会話することや▲聖書や十字架など宗教物品を机上に備えること、▲他宗教を信じる同僚に教会に行こうと勧誘することが許容される。
ただし、ここには省庁が職員の発言を制限できる広範な権限を持ち得ることも明記された。宗教的な勧誘活動が業務妨害やハラスメントと解される場合、禁止され得るという趣旨だ。これは、1997年のクリントン政権時代に「連邦公務員は宗教について意見交換や説得を試みることができるが、中止を求められた場合は直ちにやめなければならない」と明記した政策とも類似する。
法的対応の動きも感知される。ブライアン・シュワルツ米カリフォルニア州の雇用専門弁護士は「数十人の連邦公務員から懸念を受け取った」とし、「憲法上の『政教分離原則(Establishment Clause)』違反の有無を検討中だ」と明らかにした。政府のシステムを用いて長官が説教のようにメッセージを伝達したことは、法的違反の疑いがあるとの主張だ。
しかし、実際に内部告発や訴訟に発展する可能性は限定的だとの見方もある。現在、農務省内部で組織再編と人員削減が続いており、下手をすれば問題提起が報復的人事につながりかねないとの懸念が強まっているためだ。
専門家は「表現の自由」と「政府の宗教的中立性」の間の境界が明確に規定されるべきだと強調する。宗教自由ビジネス財団のブライアン・グリム会長は「機関長が宗教的な祝祭に言及することは適切であり得るが、すべての職員が同一の信仰を共有しているという前提を置いたり、特定の宗教を普遍的価値として提示するやり方は問題となり得る」と指摘した。