米・イラン間の激しい交渉局面で、JD・バンス米副大統領が自らハンガリーを訪問し、ビクトル・オルバン首相への公開支持を宣言したことで、ドナルド・トランプ政権が欧州右派勢力への支援を露骨化しているとの評価が出ている。
7日(現地時間)バンス副大統領はブダペストのMTKスポーツパークで開かれたオルバン首相支持集会に登場し、与党右派フィデス党への支持を表明した。バンス副大統領は「自分はオルバンの熱烈な支持者であり、米国も彼と最後まで共にする」というトランプ大統領の肉声をマイクで直接流し、さらにオルバン首相を「欧州で数少ない真の政治家」と持ち上げて会場の雰囲気を大いに高めたとされる。
この日は、先にトランプ大統領がイランに提示した交渉期限の最終日でもある。バンス副大統領は前日の6日に専用機で首都ブダペストに到着したと伝えられている。マルコ・ルビオ米国務長官も2月に欧州連合(EU)首脳との会談を取りやめてハンガリーを訪れ、オルバン首相と会って後押しした経緯がある。
とりわけ今回の訪問は、オルバン首相が政治的に最大の危機に直面した時点で行われた点で注目される。ハンガリーは12日に総選挙を控えるが、オルバン首相が所属する与党フィデス党の支持率が野党「尊重と自由」に大きく劣後しているためだ。
英国BBCの報道によると、「尊重と自由」はペーテル・マジャル党代表の人気上昇に伴い支持率が58%まで急伸した一方、フィデス党は同期間の支持率が35%にとどまり、首相交代の可能性が予告されている。16年間の長期政権の過程で累積した経済難や親族の不正など各種スキャンダルが支持率低下を牽引したとみられる。
通称「欧州のトランプ」と呼ばれるオルバン首相は、EU内で代表的な非主流派政治家に区分される。反移民政策と伝統的キリスト教的価値の擁護を掲げて権威主義的な政治基盤を固め、ウクライナ戦争の局面でもロシアとの関係を一定程度維持しつつ米国と協力するなど、差別化した外交路線を続けてきた経緯がある。
これによりハンガリーは米保守陣営の関係者が集う拠点として浮上し、マガ(MAGA)ネットワークのハブの役割を担うようになったとの評価が出ている。トランプ政権がオルバン首相とフィデス党を逃せない理由である。
実際にトランプ政権は国家安全保障戦略で、欧州の既存の政治潮流に対する「抵抗勢力の育成」を明記し、右派勢力の拡大を戦略的目標として掲げた経緯がある。バンス副大統領もミュンヘン安全保障会議での演説などで欧州主流政治を批判し、表現の自由の抑圧や不法移民の受け入れに対する改善を強く促してきたが、ハンガリーはこうした路線と最も近接する国家として挙げられる。
ただしトランプ政権の公開支持がハンガリー有権者に肯定的な影響を与えるかは不透明だ。2024年に与党フィデス党が国営の児童保護施設内の性暴力を隠蔽したとの疑惑が浮上し、オルバン首相が深刻なイメージの打撃を受けたうえ、生活費や医療インフラなど庶民の経済イシューがより深刻な課題として台頭しているためだ。
ブダペストのシンクタンクである政治資本研究所のペーテル・クレコ所長は「外勢の脅威に焦点を当てたフィデス党の選挙運動に市民は疲労感を覚えている」とし、「有権者は現実の問題を解決してくれる政治家を求めている」と指摘した。