米国がイラン領内に孤立した武器統制士1人を救出するため、約2億5000万ドル(約3800億ウォン)に達する作戦費用を投入したことが分かった。北マケドニアやモンテネグロのような欧州の小国に当てはめれば、年間国防予算に匹敵する金額である。
6日(現地時間)、主要メディアを通じて今回の救出作戦に関する具体的な事項が相次いで明らかになるなか、ドナルド・トランプ米国大統領はコールサイン「デュード44B」を救う今回の任務に総計176機の航空機が投入されたと公式に確認した。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とアクシオス、APなど主要メディアの報道を総合すると、作戦は1・2次に分かれた多段階作戦として精巧に進行した。1次は救助に先立ち、上陸前哨基地を設ける過程に集中した。
本格的な救助が行われた2次作戦で米軍は、イラン軍の防空網を無力化し、制空権を掌握するために中東近隣で運用可能な航空アセットを最大限1カ所に投入した。この日2次作戦には戦略爆撃機4機と戦闘機64機、空中給油機48機、救助専用航空機13機など155機が一度に動員された。地上では特殊作戦兵力約100人と航空操縦兵力を含む数百人が直接敵陣に足を踏み入れた。
作戦費用の内訳を見れば数値はさらに圧倒的だ。米国防総省が策定した2025会計年度(FY2025)基準の時間当たり運用費資料によれば、今回の作戦の主力であったF-15Eストライクイーグル戦闘機は1時間当たり2万6243ドル(約3600万ウォン)を消耗する。作戦中、上空で威力を誇示したB-1B戦略爆撃機の時間当たり運用費は9万8872ドル(約1億2500万ウォン)に迫る。これらを支援するために飛ばした空中給油機KC-135R(2万63ドル)とKC-46A(1万2657ドル)48機が投じた燃料費と飛行手当もまた天文学的だ。
ここに救助専用機MC-130J(9621ドル)とHH-60Gヘリ(9733ドル)の運用費、そして作戦中の機体不具合でイラン領土内で自爆廃棄した輸送機2機の資産価値を合算すると、総費用は3780億ウォンに達すると英ガーディアンは推定した。
米軍は緻密な欺瞞術を併用するため、戦略的に平時より多くの兵力を投入した。米軍はイラン軍が実際の救助地点を特定できないよう、計7カ所の候補地を同時に攻撃するか、偽装進入する戦術を展開した。1カ所攻撃より7倍多い戦力が必要だったという意味である。
トランプ大統領はアクシオスのインタビューで「動員された航空機の相当数は、追跡していたイラン軍を混乱させ誤誘導するためのものだった」とし、「敵軍があちこちで現れるように錯覚させ、実際の救出経路を隠蔽した」と明らかにした。米軍はさらに、救出後36時間にわたり隠れ家で位置信号を隠しながら耐えた操縦士のためにリーパー無人機と戦闘機戦力を動員し、イラン軍の車両隊列が接近するたびに逐一精密爆撃を加えた。
天文学的費用を甘受して操縦士1人に固執した理由は、その人物が単なる兵士ではない「戦略的資産」だからである。現代戦で今回救出された大佐級の熟練操縦士を養成するには数百億ウォンに達する予算と最低12年以上の時間が必要だ。とりわけ米軍の先端兵器体系と作戦機密に通じている武器統制士が敵対国との交戦中に捕虜となる場合に発生する情報流出の被害は金銭に換算しがたい。WSJは「米軍が高価な装備を果断に捨てても人員を救い出したという事実自体が、米国がどのような価値を最優先に置くかを示す」と評価した。
軍内部の信頼と士気維持という見えない価値も今回の作戦の核心動力だ。米空軍教理(ドクトリン)によれば、要員救助(Personnel Recovery)は部隊の結束力を維持する最後の砦である。教理は「死地に出撃する操縦士たちに『何があっても国家はあなたを迎えに来る』という確信を与えることは、軍の戦闘力を支える根幹だ」と定義した。経済的効率性より人間の尊厳と軍事的自負心を優先する米国の物量作戦は、今後の中東情勢でも相当な抑止力として作用する可能性が大きい。
専門家は、今回の作戦で米国が自国軍人のために支払いうる費用には限界がないことを証明したと評価した。全将兵に強力な帰属意識と使命感を植え付ける信頼投資の性格を帯びるという意味だ。