米国・イスラエルとイラン間の戦争の余波で、中東の米国大学が相次いでキャンパスを閉鎖したり出入りを制限するなど、非常対応に乗り出している。とりわけイランがこれら大学を「合法的攻撃対象」と名指ししたことで、教育機関までが直接的な危険にさらされたとの評価が出ている。
5日(現地時間)の米紙ワシントン・ポスト(WP)によると、中東に所在する米国大学はイラン側の空爆に備え、一斉に門戸を固く閉ざしている。レバノンのベイルート・アメリカン大学(AUB)は必須人員を除くすべての者の出入りを制限し、カタール・ドーハのエデュケーション・シティ内にあるジョージタウン大学、コーネル大学、ノースウェスタン大学など主要大学のキャンパスも無期限で閉鎖された。
これら大学は2月に米国とイスラエルがイランとの戦争を宣言して以降、すでに授業を遠隔またはハイブリッド(遠隔授業と教室授業を組み合わせた授業)方式に転換していたが、最近の空爆の強度が増すなか、いっそう強化した対応を打ち出したとみられる。
実際にイランは戦争初期、米軍基地や空港・石油施設を中心に空爆を続けてきたが、最近になって攻撃範囲の拡大に動いた。先月29日、イラン革命防衛隊(IRGC)は「今後、占領国(イスラエル)のすべての大学と、西アジアにある米国の大学を合法的な攻撃目標と見なす」とし、「この地域の米国関連大学の職員と学生、近隣住民は、施設から少なくとも1km以上離れることを勧告する」と公表した。
先立ってイラン科学省は、イスファハン工科大学とテヘラン・イラン科学技術大学をはじめ全国30校以上の大学が攻撃を受けたと発表しており、IRGCはこれに対する報復の一環として米国大学を標的としているとの観測が出ている。
これを受け、現地の大学関係者の不安は徐々に高まっている。ヒズボラの参戦によりイスラエル側の軍事作戦が行われているレバノンでは、100万人以上が避難の途についており、このうち相当数がAUBキャンパス近隣に集まっているとされる。キャンパスの出入口ではかばん検査を実施して保安を強化し、内部では無料診療を提供するなど支援活動が行われているが、安全への懸念は容易に払拭されない様相だ。
ファドルラー・クーリAUB総長は「行き場のない数百人を静かに受け入れている」とし、「地域住民に食事を提供している」と状況を伝えたことがある。
米政府も危険性を認識している。駐レバノン米国大使館は自国民に即時出国を勧告し、「イランと連携するテロ組織がレバノンの大学を攻撃する可能性がある」と警告した。ヒズボラ関係者もまた「米国とイスラエルが子どもを殺している以上、米国機関にいる子どもも標的になり得る」として緊張を高めている。
今回の戦争を機に、中東で構築された教育ネットワークの持続可能性が揺らいでいるとの指摘も出ている。19世紀にニューイングランドの宣教師がレバノンのベイルートとトルコ(トルコの自称「トゥルキエ」)イスタンブールに教育機関を設立したのを発端に、米国の大学は湾岸地域に衛星キャンパスを設立し、グローバル・ネットワークを一段と拡張してきた経緯がある。
とりわけ1990年代後半から2000年代初頭にかけて、バージニア・コモンウェルス大学、カーネギー・メロン大学、テキサスA&M大学などがアラブ首長国連邦(UAE)およびカタールに相次いで進出し、現在は10以上のキャンパスが中東各地に設立されていると集計されている。
フィリッポ・ディオニージ・ブリストル大学国際関係学教授は「米国と関係する大学が軍事基地と同程度の安全保障リスクとして認識され得る」と述べ、「外国人教員と留学生の誘致が難しくなる」と指摘した。実際、テキサスA&M大学は「地域の不安定性の高まり」を理由に、カタール・キャンパスを2028年までに閉鎖することを決定したとされる。