米国とイスラエルの空爆で始まったイラン戦争が1カ月目に入るなか、ドナルド・トランプ米政権内でイランの政権交代をめぐる解釈が割れている。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は先月31日(現地時間)、「トランプ大統領と側近らは、米国とイスラエルの爆撃によってイラン政権を変化させたかどうかについて相反する発言をしてきた」とし、「政権交代(regime change)という表現が何を意味するのか、あるいは米国とイスラエルが4週間のイランとの戦争でそれを達成したのかについて、政権の高官の間でも意見が割れているようだ」と報じた。
トランプ大統領はこの日、ホワイトハウスで開かれた大統領令署名式の行事で「われわれは一つの政権を打倒した。そして二つ目の政権も打倒した」とし、「いまわれわれは以前とは非常に異なり、はるかに合理的で急進的でない人々を迎えることになった。われわれは政権交代を成し遂げた」と主張した。
トランプ大統領は、米国の空爆で最高指導者アヤトラ・アリ・ハメネイが死亡し、その次男モズタバが後を継いだ状況をめぐり「政権交代」と主張し続けてきた。先月29日、大統領専用機エアフォースワンでも「すでに政権交代があった。最初の政権は完全に破壊され、皆死んだ。二つ目の政権もほとんど終わった。そして三つ目の政権は以前とはまったく異なる人々だ」と語った。
ピート・ヘグセス米国防長官もトランプ大統領の主張を後押しした。ヘグセス長官はこの日の記者会見で現イラン政府について「政権交代がすでに実現したため、この新たな政権は以前よりも賢明でなければならない」と述べた。
一方、マルコ・ルビオ国務長官ははるかに慎重な立場を取った。ルビオ長官はアルジャジーラとのインタビューで「イラン国民がハメネイの神権政権より良い指導部を持つに値すると考えるか。100%その通りだ。(ハメネイ)指導部に変化が生じたら米国が胸を痛めるのか。全くない。しかしイランの神権政権は今回の作戦の主要目標ではなかった」として、政権交代と一線を画す発言をした。さらにABCなどとのインタビューでも「イランに(これまでとは)異なる未来ビジョンを持つ指導者が登場するシナリオを米国は常に歓迎するが、そうならない可能性も高く、そのようなシナリオにも備えるべきだ」と語った。
このようにトランプ政権内でもイラン政権交代に関する見解が割れている状況について、NYTはトランプ大統領の主張とは異なり、イラン国内では実質的な政権交代は実現していないと指摘した。政権交代の一般的な定義は、政府や指導部が強制的に替わり、政策・政治・統治構造に構造的な変化が生じることだが、イランでは権威主義的で反米的な神権体制が依然として維持され、戦争も続いているためだという。
ワシントンのカーネギー国際平和財団のイラン専門家カリーム・サジャドプールは「イランでは人的交代はあったが政権交代はなかった」とし、「同じイデオロギーを持つ別の人々にすぎない」と述べた。
ハメネイ死亡により最高権威者の地位を引き継いだモズタバは、イラン革命防衛隊(IRGC)の強硬派と密接な人物として知られている。イラン政府は米国への抵抗を宣言し、米国・イスラエル・アラブ同盟に対する報復攻撃を継続しており、ホルムズ海峡でエネルギー輸送を妨げて世界経済にも影響を及ぼしている。ひと言で言えば、モズタバは前任の父アヤトラ・アリ・ハメネイと同じ性向だと見ても差し支えない。ただし重傷を負ったとされるモズタバの現在の状態は不明であり、イラン戦を実際に指揮している人物がモズタバなのかについても不確実な状況である。
このようなイランの状況を踏まえると、トランプ大統領が戦争を通じてイラン政権が交代したと主張するのは、初期の戦争目標を達成したと強調するために「政権交代」の概念自体を再定義(redefine)しようとする試みと解釈できるとNYTは伝えた。
一方、ワシントンのシンクタンク、ディフェンス・プライオリティーズの中東プログラム責任者ローズマリー・ケラニクは「トランプ政権全体は、戦争目標として掲げた『完全な政権交代』から次第に遠ざかっているように見える」とし、「実際の政権交代戦争は大規模な地上軍投入を必要とする。トランプ大統領はその費用とリスクが利益をはるかに上回るため、その選択をしようとはしないだろう」と述べた。