米国とイランの戦争が発生から32日目に入るなか、開戦初期に米国とイスラエルを刺激しないため沈黙に近い慎重論を展開していた中国の動きが一変した。これまで距離を置き事態を観望していた中国がパキスタンと手を結び、積極的な仲介役として乗り出した。
1日、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とアルジャジーラなど主要メディアの報道を総合すると、王毅中国外相は前日、イシャク・ダル・パキスタン副首相兼外相と北京で会談を開き、中東地域情勢の安定に向けた5大提案を発表した。核心内容は、敵対行為の即時停止、早期の和平交渉開始、民間および核心インフラの安全保障、ホルムズ海峡の正常な航行回復、国連憲章の優先などである。
先にイランは、ウラン濃縮の全面中断と中核核施設の解体、弾道ミサイル計画の終了といった条項を盛り込んだ協議案には関心がないと一蹴した。これに対しパキスタン側は、今回の中国との新提案について、誰もが満足しうる均衡の取れた構想だと評価した。ドナルド・トランプ米大統領も同日、イランとの休戦合意の可能性について「彼ら(イラン)が望んでいるため合意に至る可能性がある」との楽観的見解を示した。
中国は今回の共同構想発表前まで、中東事態に直接介入する状況を避けてきた。武力衝突が歯止めなく拡大する過程でも、原論的な平和訴求声明を出すにとどまった。友好国であったイランが米国とイスラエルに空爆されても批判的な声を上げたり、イランを公然と擁護したりはしなかった。下手をすればイランを積極支援する姿に映り、米国と正面衝突する不測の事態を極度に懸念したとみられる。一部では、これを状況を綿密に注視しつつ外交的摩擦を最小化しようとする伝統的な中国式の「韜光養晦(能力を露わにせず時を待つ)」路線だと評した。
しかしホルムズ海峡の封鎖が1カ月を超え、状況は急変した。海峡周辺の物流が完全に麻痺し、世界のエネルギー供給網が根底から揺らぐと、中国内部でこれ以上事態を傍観できないという危機感が高まった。ホルムズ海峡は世界の石油海上輸送量の20%を占めるグローバル・エネルギーの心臓部だ。現在、世界の大手海運会社は高騰する戦争保険料と船舶被撃のリスクのため、同海域の航行を全面中断している。
輸出主導型製造業が経済の骨格である中国にとって、原油供給の支障は国家経済全般を揺るがす致命的な悪材料だ。中国は備蓄油を放出し、ロシア産原油の導入を増やして耐えているが、戦争が長期化するなかで産業界全般に連鎖的なシャットダウン不安が強まっている。ヘンリー・トゥゲンダト・ワシントン近東政策研究所研究員は親米性向のメディア「アルフラ」に対し、「ホルムズ海峡は中国の原油輸入量の45%が通過する要衝であるだけに、現在中国の最大の悩みの種に浮上した」と診断した。
中国は今回の仲裁案を提示するにあたり、自らが前面に出ずパキスタンを前面に立てた。中国が米国を直接相手取り仲裁案を突きつければ、覇権競争の構図に変質し、かえって逆効果を招きかねない。このため、中国とイラン双方の長年の盟邦であり、今回の戦争で既に米国とイランの間の連絡役を担ってきたパキスタンを十分享用した。パキスタンが主導する体裁を取りつつ、中国は背後で重い保証人の役割を引き受ける方式だ。
中国は米国とイランが合意に失敗したとしても、仲裁国として背負うべき外交的負担をパキスタンに分散できる。逆に交渉が成功する場合は、中東平和を導いた実質的な背後として中国の国際的地位を高められる。アルジャジーラは中東専門家のサイード研究員を引用し、「パキスタンが展開する現場シャトル外交は低リスク高効率の手段だ」とし、「中国が米国と直接ぶつからずとも、緊張緩和を強く圧迫できるため信頼性が高い」と分析した。
専門家らは、イランの立場でも現実的に中国側の仲裁を拒み難いと見通した。イランは長年の西側制裁に続く今回の戦争で、国家の存続が懸かる水準の経済難を経験している。政権維持のためには、最大の貿易パートナーであり心強い友邦である中国の経済支援が切実だ。
中国もまた、イラン政権が崩壊したり、極端な抵抗に出て中東全体が火薬庫に変わる状況は望まない。今回の仲裁もキャロット(karrot)と鞭を併用してイランを説得し、ホルムズ海峡の安全を確保しようとする多目的の布石と解釈される。アルジャジーラは専門家を引用し、「中国の高官らは安定的な米国とイランの関係が自国の核心的利益に合致すると判断している」とし、「仲裁支援の代価としてホルムズ海峡の航行再開と地域の平和・安定を確実に関連付けている」と述べた。
とりわけ今回の仲裁支援決定の背景には、米国中心の中東秩序に新たな枠組みを構築するとの計算があるとの分析も出ている。トランプ大統領は当初予定されていた中国訪問を戦争の余波で延期しており、5月に改めて北京を訪れる計画だ。トランプ訪中を前に、貿易紛争など山積する懸案を有利に解いていく強力な交渉のてこが必要な中国が、今回の仲裁案件を活用するとの観測が浮上している。