米国政界で人工知能(AI)規制をめぐる対立が激化する中、バーニー・サンダース(バーモント州・無所属)上院議員がAI規制の策定前に新規データセンター建設を全面中断する法案を提出した。
25日(現地時間)のワシントン・ポスト(WP)によると、サンダース議員はアレクサンドリア・オカシオコルテス(ニューヨーク州・民主党)下院議員とともに、国家的なAI安全規制の策定前に米国内のデータセンター建設を全面中断する法案を提出した。サンダース議員とオカシオコルテス議員は米国の進歩派で旋風を起こした影響力の高い人物とされる。
法案はデータセンターをAIの「物理的実装体」と位置づけ、これを規制の出発点とすることを骨子とする。連邦政府がAIの安全性と富の再分配問題を担保する規定を整備するまでデータセンター建設を中断し、技術発展の速度を政策的に統制して社会的衝撃を緩和すべきだという趣旨だ。
この日サンダース議員は記者会見で「有権者は歴史上最も深遠な(profound)技術革命に直面する状況で巨大ビッグテック中心の寡頭政治勢力の自発的確約以上のものを必要としている」とし、「議会は革命の本質とその影響力を理解するうえで大きく立ち遅れている」と強調した。
オカシオコルテス議員も「AIモラトリアム(一定期間の中断)を通じて、立法者や起業家、その他の関係者がAIとデータセンターのリスクを理解し、労働者の家庭と民主主義を守り、この技術がすべての米国人に有益に適用されることを保証するための時間を稼ぐことができる」と述べ、声を強めた。
現在米国には4000件以上のデータセンターが存在し、その大半はバージニア、テキサス、カリフォルニアに所在する。
先にデータセンター建設をめぐる対立は米全土の地域社会で広がってきた。世界のデータの70%が経由する世界最大のデータセンター集積地域であるバージニア州では住民の反対デモが続き、追加建設が難航したほか、ジョージア州でもデモが相次ぎ、一部の郡は建設許可手続きを保留したり規制を強化する動きを見せた。
WPによると少なくとも12州でデータセンター建設の中断を検討中で、ニューオーリンズやチャンドラーなど数十の地方政府はモラトリアムを導入した状態とされる。不動産仲介のCBREグループは、米国内で建設中のデータセンター容量が2024年末の6.35ギガワット(GW)から昨年末の5.99GWへと減少し、2020年以降で初の減少局面を示したと集計した。
世論もまたデータセンター建設の規制に力を与えている。昨年10月に全国的なAIモラトリアムを初めて提案した環境団体フード・アンド・ウォーター・ウォッチのミッチ・ジョーンズ政策責任者は「当初の政策提案時には大半が即座に退けられた」とし、「その後複数の団体が同調する流れを見せ、雰囲気が反転している」と説明した。世論調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国人の大多数はデータセンターが▲環境 ▲電気代 ▲生活の質の側面で否定的な影響を及ぼすと認識した。
これに先立ちサンダース議員はAIをめぐり継続的に警鐘を鳴らしてきた。サンダース議員はAIの発展が人類滅亡につながりうるとする専門家の動画を共有したほか、AIと直接インタビューを行い、技術の個人情報侵害問題を議論する動画を掲載した。先月にはカリフォルニアを訪れ、ビッグテック経営陣と対談し規制策定の必要性を強調した。
ただしドナルド・トランプ米政権はこれと正反対の歩みを進めているとみられる。ホワイトハウスの技術参謀は規制の最小化とAI発展によるイノベーション促進で中国との競争で優位を確保できるとみているためだ。実際に20日、ホワイトハウスはAIに対する国家単位の立法フレームワークを公表し、各州のAI規制権限を制限して規制を最小化する「ライトタッチ(light-touch)」アプローチの適用を試みる姿勢を示した。
規制が実際の立法に結びつく可能性は限定的だとの指摘も出ている。渉外コンサルのマルチステートによると、今年のデータセンター関連法案のうち数十件が相当な進展を示したものの、概してこれらの法はデータセンター発展のための政府の情報収集を後押しする方向に進んだことが分かった。
業界も強く反発し、ロビー活動に総力を挙げている。サイ・マクニールデータセンター連合連邦業務担当主任は「モラトリアムはデジタルサービスへのアクセスを制限し、グローバル競争力を損ない、米国人の日常生活に相当な影響を及ぼす」と警告した。グレッグ・ブロックマン・オープンAI社長などテック業界の主要人物は、規制緩和を支持する候補に選挙資金を支援するなど水面下の動きを続けているとされる。