ドナルド・トランプ米国大統領がマッチョ男性イメージを前面に出す右派インフルエンサー、ニック・アダムスを米国観光特使に任命し、論争が起きている。
米国務省によると、アダムスは17日(現地時間)に「米国観光・例外主義価値担当大統領特別使節」に任命された。この職務は国立公園や記念碑など米国の観光資産を広報することが主な任務で、ホワイトハウスは米国のグローバルイメージ向上と観光活性化を目標に職責を新設したと明らかにしていた。ただし、この職位が有給かどうかは公開されていない。
国務省の発表直後、アダムスは自身のソーシャルメディアを通じて「トランプ大統領が祖国への愛を再び呼び起こし、神聖な灯を再点灯するよう要請した」と述べ、任命事実を確認した。デイビス・イングル大統領報道官も声明で「アダムスは米国第一主義を掲げる愛国者だ」とし、「米国独立250周年を前に米国の優秀性を際立たせる任務でアダムスと協力することを期待する」と明らかにしていた。
豪州移民出身のアダムスは、これまで誇張されたマッチョなキャラクターと率直な言動で保守陣営で影響力を拡大してきた。例えば、普段からステーキを好み、女性従業員の露出度の高い衣装で知られるチェーンレストラン「フーターズ」を訪れるなど典型的な男性性を強調してきたが、こうした行跡を収めたコンテンツは若年男性中心のオンラインコミュニティ「マノスフィア」で大きな反響を得ており、MAGA(トランプ大統領の強硬支持層)陣営内でもファン層を形成したとみられる。
先にトランプ大統領は昨年7月にもアダムスをマレーシア駐在米国大使に指名したが、これを撤回した前歴がある。ホワイトハウスは撤回の理由を具体的に明らかにしなかったが、アダムスが過去にオンラインでトランプの政治的競争相手を「イスラム支持者」と貶めるなどイスラム嫌悪の発言を繰り返したことが足かせになったと推測される。
過去に豪州自由党所属の政治家だったアダムスは、過激なユーモアとインターネット投稿で物議を醸し、「党の名声を損ない、辱めを与え得る行為をした」という理由で除名されたとされる。その後、米国に移住してトランプ大統領の熱烈な支持者として活動しながら地歩を固め、2021年には米国市民権を取得した。
トランプ大統領もアダムスを「好みの作家かつ講演家」と評価し、著書『Alpha Kings(アルファ・キングス)』に自ら序文を寄せるなど厚い愛情を示してきた。
一方、アダムスは観光特使指名以降、発言のトーンを調整しイメージ管理に動いている様子だ。過去にはフーターズ閉店当時、店舗の経営難の理由を「バイデンフレーション(バイデン政権下でのインフレ進行)」と民主党の「woke(進歩的価値を強要する行為)」政策のせいにするなど強い刺激的発言を続けてきたが、最近は関連投稿を削除し、トランプ政権支持のメッセージに集中しているという。
一方で、トランプ大統領がいわゆる「忠誠派」人事を相次いで要職に据え、批判の声が続く見通しだ。先に不動産開発業者出身のスティーブ・ウィトコフを中東特使に任命したほか、ジェフ・ランドリー・ルイジアナ州知事をグリーンランド担当特使に任命するなど、関連経歴のない人材を無作為に登用しているとの批判に包まれた経緯がある。