中東の紛争に伴うオイルショックがアジアの自動車市場の地図を塗り替えている。ブルームバーグは、急騰するガソリン価格に耐えられない消費者が電気自動車(EV)へ大量に移行する現象が起きていると、20日(現地時間)に報じた。
ブルームバーグによると、フィリピン・マニラの金融街にあるBYD(比亜迪)店舗には2週間で1カ月分の受注が殺到した。ベトナム・ハノイでも電気自動車メーカーのビンファストの展示場来場者が4倍に増えたとブルームバーグは説明した。米国とイスラエルのイラン空爆以降、この店舗では3週間で電気自動車が250台売れ、昨年の平均販売ペースの2倍に達した。
米国とイスラエルのイラン空爆以後、ホルムズ海峡が事実上封鎖されて原油価格が急騰したことで、消費者が電気自動車へ目を向けているとみられる。国際原油の指標であるブレントは9日に1Barrel=110ドルを突破したのに続き、18日にも110ドルを再び上回るなど高止まりしている。
とりわけアジア地域は直接的な打撃を受けている。ホルムズ海峡を通過していた原油のおよそ80%がアジアに向かっていたためだ。ニュージーランドでは今月に入りガソリン価格が20%急騰し、一部地域のガソリンスタンドではガソリン購入の制限まで行っていると伝えられた。アルバート・パクアジア開発銀行(ADB)主席エコノミストは「原油高は電気自動車への移行を加速する最も強力な要因だ」と述べ、「経済的誘因が明確になった」と評価した。
ブルームバーグは、これまで電気自動車の普及を阻んできた最大の障壁は価格だったが、原油高により消費者が再び試算を始めていると説明した。初期購入費用が高くても維持費の削減効果が際立っているという。タイの自動車業界関係者は「補助金の縮小で電気自動車の需要は減るとみていたが、原油価格が今の水準を維持すれば状況は一変する」と語った。ラオス政府も緊急措置を通じて電気自動車の登録・サービス費用を30%減免する一方、内燃機関車には同率の割増手数料を課し、政策の方向性を大きく転換した。
ブルームバーグは、電気自動車人気の最大の受益者として、サプライチェーンと価格競争力を先取りした中国を挙げた。これに対し、米国の政策変更に応じて電気自動車への移行速度を落としていたゼネラル・モーターズ(GM)、フォード、ホンダなどの伝統的完成車メーカーは、急増するアジアの需要に対応する台数を確保できず、今回の特需から取り残されているとの分析も出ている。