イランが近隣の湾岸諸国への報復攻撃を拡大するなか、かつてイランとの関係改善を模索していた湾岸諸国が、いまやイランの神政体制を自らの生存を脅かす存在と見なし始めた。
18日(現地時間)、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「湾岸諸国はいまやイラン神政体制の存在自体を脅威と見ている」とし、「彼らは戦争が終わった後、二度と同じ苦痛が繰り返されないよう、イラン政権が無力化されるか、可能であれば完全に解体されることを望んでいる」と報じた。
イスラエルメディアのエルサレム・ポストも「イランが湾岸諸国、とりわけアラブ首長国連邦(UAE)への攻撃を続けるにつれ、今後の状況に対する世論が変わる可能性がある」とし、「これは、戦争勃発について公然と極めて慎重な姿勢を示し、緊張緩和を好むかのように見えた国家が、いまは長期的な軍事作戦を通じてイランが敗北することを望む可能性があるという意味だ」と伝えた。
サウジアラビア、UAE、カタールなどの湾岸諸国は、米軍基地がある米国の友好国で、イランとは敵対的関係だが、これまで武力衝突を避けるため関係改善を模索してきた。サウジは2023年に中国の仲介でイランと外交関係を正常化し、UAEも2022年にテヘラン駐在大使館を再開した。
しかし米国とイスラエルのイラン空爆で戦争が始まり、状況は急変した。イランは先月28日、攻撃を受けた直後にサウジ、UAE、バーレーン、クウェート、オマーンなどに向けてミサイルとドローンを発射した。当時イランは、湾岸諸国を直接狙ったのではなく域内の米軍基地などを攻撃したと明らかにしたが、実際には湾岸諸国の民間施設が大きな打撃を受けた。
UAEの場合、戦争勃発以降に2000基以上のイラン発ドローンとミサイル攻撃を受け、湾岸諸国の中で最も大きな被害を被った。攻撃の80%以上は石油施設、製油所、空港、港湾、ホテル、データセンターなど民間インフラを狙ったものだった。イランの攻撃で、グローバルな「ハブ空港」の地位をめぐり競ってきたドバイ国際空港が一時的に運営に支障を来したこともあった。
戦争に直接関与していない湾岸諸国に対してイランが無差別攻撃を加えると、湾岸諸国は次第にイランから背を向け始めた。スルタン・アルジャーベルUAE産業先端技術相は「これは軍事的交戦ではなく、外交のために不断に努力してきた平和的な国家に対する攻撃だ」とし、「長期的な政治的合意は、イランの核プログラム、弾道ミサイル能力、そして地域の代理勢力ネットワークなど、あらゆる脅威を扱うべきだ」と述べた。
とりわけ、自らの攻撃が域内の米軍基地などのみを標的にしたというイランの主張も、湾岸諸国の怒りを増幅させた。マジェド・アル・アンサリカタール首相顧問は「はっきり言えば、イランの攻撃が始まって以降、民間目標に対する脅威と攻撃は止んだことがない」と強調した。米国製の先端防空網のおかげで被害規模は抑えられたが、その分だけ湾岸諸国が米国側へさらに傾いているとの分析が出ている。
湾岸諸国がイラン政権の完全な崩壊まで望むようになった理由は、イラン指導部が相次いで死亡したにもかかわらず攻撃が続いているためだ。とりわけ、世界の原油輸送量の約20%が通過するホルムズ海峡の通行が今回のように支障を来す場合、石油輸出に大きく依存する湾岸諸国の被害は甚大にならざるを得ない。
WSJによると、湾岸諸国はイラン政権にホルムズ海峡の再開を迫る手段として、米国がイランの原油輸出の90%以上が通過するハールグ島を占領するか、少なくとも占領の態勢を整える案に言及している。トランプ大統領も、イランの中核的な原油輸出拠点であるハールグ島の掌握を念頭に、数千人規模の地上軍投入を検討しているとされる。
カタールのドーハ大学院のムハナド・サルーム教授は「イラン政権はあらゆるレッドラインを越えた」とし、「いま米国が戦争を終結させることが、湾岸諸国を含むすべての者の利益にかなう」と述べた。続けて「もし今戦争が終わり、イランが米国が敗北したと主張して勝利を宣言するなら、イランは地域全体を人質に取り、圧力を受けるたびに湾岸諸国を攻撃するだろう」と評価した。