中国の人工知能(AI)産業の競争構図が急速に変化するなか、アリババ(Alibaba)がAI組織を大幅に再編した。最近、中国でAIエージェント開発フレームワーク「オープンクロウ(OpenClaw)」がブームとなり、関連サービスの競争が急拡大する流れの中で、アリババがAI戦略を大規模モデル中心からAIエージェント基盤の応用とプラットフォーム競争へ拡張しようとしていると解釈される。
17日、中国経済メディアの第一財経によると、アリババは最近「アリババトークンハブ」事業チームを新設した。新組織はAIモデル開発とモデルサービス、応用サービスを一体で運営する構造だ。基礎モデル研究と企業向けモデルサービス組織、AI応用事業部などがこの組織の下に統合された。ウ・ヨンミン(吴泳铭)最高経営責任者(CEO)が直接統括する。
◇ 背景には中国を揺るがした「オープンクロウ」ブーム
今回の組織改編は、最近の中国AI産業の環境変化と連動している。ここ数年、中国のビッグテック(大手テック企業)は大規模言語モデル(LLM)の性能競争に注力してきた。しかし主要企業が自社モデルの確保に成功し、攻勢的にサービスを打ち出す中で性能差が次第に縮小すると、競争の焦点がAI応用サービスへ移りつつある状況だ。
とりわけ最近、中国の開発者コミュニティで「オープンクロウ」というAIエージェント開発フレームワークが急速に拡散し人気を集め、産業の雰囲気が大きく変わった。オープンクロウは、AIが自ら作業を計画し実行するエージェント構造を実装するためのツールで、従来のチャットボットとは役割が異なる。チャットボットが質問に対する答えを生成する構造であるのに対し、オープンクロウのようなAIエージェントは利用者から目標を受け取り、直接結果を生み出す。単に情報を説明する水準を超え、資料収集や分析、プログラム実行など実際の業務を自律的に遂行する。「答える段階」から「働く段階」への進化だ。
オープンクロウは3月初め頃から中国のテック業界で大きな人気を博し始めた。ソーシャルメディアにはオープンクロウのインストール方法、モデルの組み合わせ、利用のコツなどが速いペースで共有され、インストールを支援するサービスも高額で登場した。テンセント(腾讯)が無料インストール支援を表明すると、インストールを希望する開発者ら約1000人が深圳の本社前に集結する事態となった。オープンクロウの人気がブームに発展すると、アリババをはじめ、バイトダンス、バイドゥ(百度)、センスタイム、ミニマックス、ジープー(智普)など現地の主要企業も相次いで関連サービスを公開し、競争が広がった。
◇ アリババがAI戦略を変更…「トークン」に活路
こうした変化の中で、アリババの組織改編はAI戦略の中心を「基礎モデル開発」から「AIエージェント競争」へ移そうとする試みと受け止められる。アリババはこれまでモデル開発競争で一定の成果を上げたが、チャットボットサービスに代表される生成AIアプリ市場では、バイトダンスの「ドウバオ(豆包)」に比べて存在感が弱いとの評価を受けてきた。技術力とは別に、実際のユーザー接点の確保で後れを取ったという評価だ。
このような限界を踏まえ、アリババはモデルそのものよりもAIが実際に使われる構造を掌握することに焦点を当てようとしているとみられる。AIエージェントの普及により、人間のエンジニアよりもAIエージェントがより多くの作業を担うようになり、その過程でAIの演算単位である「トークン」の使用量が爆発的に増加すると見込まれる状況だ。結局、トークンをどれだけ多く生成し、流通させ、消費させるかが、今後のAI競争の核心になると専門家は見ている。
これを受け、アリババは「トークンの創出・供給・活用」を新組織の中核目標に据えた。マルチモーダルモデルの開発を通じてトークンを生み出し、企業向け大規模モデルのサービスプラットフォームを通じてこれを供給し、企業と個人を対象としたAI応用サービスでトークンの使用を拡大する構想だ。ウCEOは社内書簡で「現在はAGI(汎用人工知能)爆発直前の段階にある」とし、「今後、数十億のAIエージェントがデジタル業務を遂行することになり、これらはモデルが生成するトークンを基盤に作動し、人間とデジタル世界をつなぐ中核的な媒介になる」と述べた。