ドナルド・トランプ第2期政権の発足後、欧州首脳の中でトランプ大統領に最も近い指導者として浮上していたジョルジャ・メローニ伊首相が、最近進行中のイラン戦争をめぐり米国と距離を置く姿勢を見せている。
メローニ首相は昨年ホワイトハウスを訪問した際、トランプ大統領と移民問題などについて共通の立場を共有し、親密さを築いた。メローニ首相はトランプの2回目の大統領就任式に出席した唯一の欧州現職指導者だったほどで、トランプ大統領と緊密な歩みを示してきた。
しかし最近ではイラン戦争をめぐり米国を批判するなど、微妙な距離取りに動いている。先だってメローニ首相は11日(現地時間)の伊議会演説で「国際体制の危機が深まり、国際法を外れた一方的介入が増えている」とし、「イラン政権に対する米国とイスラエルの介入もこの文脈で見なければならない」と述べた。
メローニ首相が米国のイラン攻撃に対して批判的な態度を示す理由は、この事態を巡るイタリア国内の反発が小さくないためである。ある世論調査によると、イタリア人の約3分の2がイラン攻撃に否定的な見解を持っていることが明らかになった。
さらに戦争以前から、イタリア国民の間ではトランプ大統領とその政権の政策に対する批判的認識が広がっていた。米国が先月に開かれた2026ミラノ・コルティナ・ダンペッツォ冬季五輪に米国土安全保障省傘下の移民税関捜査局(ICE)要員を派遣するとしたところ、これに反対するデモが開かれたことも、こうした雰囲気を示す。
最近、「メローニ信任投票」の性格と受け止められる司法改革の国民投票を前に、メローニ首相は世論を無視できない立場にある。メローニ政権は現在、同一機関が一体で監督している検察官と裁判官の監督体制を分離する内容の司法改革を推進しているが、現地ではこの改革案が国民投票で否決される可能性も指摘されている。
とりわけイラン攻撃をめぐって、メローニ首相がトランプ大統領から事実上排除されたかのような状況も生じた。ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、一部の欧州指導者は攻撃直前に形式的な通知電話を受けたが、イタリアは事前に何の通知も受けなかった。当時、イタリアのギド・クロゼート国防相は家族とともにドバイで休暇を過ごしていたが、軍用機で緊急帰国せねばならなかった。
このためイタリア国内では、トランプ大統領とメローニ首相の親交に疑義を呈する声も高まっている。元首相で中道系野党指導者のマッテオ・レンツィはソーシャルメディア(SNS)に「ここ数カ月、あらゆる放送でメローニがトランプと欧州の間の橋だと言ってきたが、残念ながらそれはすべてフェイクニュースだった」とし、「本当に恥ずべきことだ」と批判した。米国と「特権的関係(a privileged relationship)」を結んでいると主張してきたメローニ首相としては、面目を失った格好だ。
メローニ首相としては、トランプ大統領を刺激せずにペルシャ湾岸のアラブ諸国との防衛協力の約束を守り、同時にイラン戦争に反対する国内世論をなだめなければならないという難題を抱える。ただしメローニ首相の支持率が約44%水準を維持している点は、政治的に持ちこたえる基盤と評価される。
イタリア・トリノ大学国際関係史のロレンツォ・カメル教授は「イタリア国民はこの戦争を好まないが、今のところは遠い場所の出来事のように感じている」としつつも、「戦争がはるかに長期化し、経済が大きく揺らげば、メローニは相当の政治的逆風に直面しかねない」と警告した。