最近、グリーンランドの主権を巡り米国と軋轢を経験したデンマークが来月に前倒しの総選挙を実施する。法定の総選挙期限を6カ月以上繰り上げる今回の決定は実質的に任期中盤の勝負手であり、現職首相がこのような前倒し総選挙に踏み切るのは2004年以来初めてだ。
26日(現地時間)ロイター通信などによると、メッテ・フレデリクセン・デンマーク首相はこの日、コペンハーゲンの議会に出席し、来月24日に総選挙を実施すると宣言した。直前の総選挙が2022年11月であるため、来る11月までに選挙を実施すればよいが、フレデリクセン首相が最近の支持率反騰を機に強気に出たと解釈されている。
フレデリクセン首相は議会演説で「米国との関係を再定義しなければならない」とし、「デンマーク人として、また欧州人として、真に自立すべき時が来た」と強調した。続けて「デンマークは再軍備を続けなければならない」と主張し、「東の戦争、西の脅威、南のテロに備えなければならない」としてロシア、米国、中東をそれぞれ示唆するような発言もした。
今回の選挙では計179人の議員が新たに選出され、このうちそれぞれ2人はグリーンランドとフェロー諸島出身で充てられるとされる。
前倒し総選挙の発表直後には、政治家3人が首相職への挑戦を公式化し、過熱局面に入った。デンマーク国防相で第2党・自由党の代表であるトロエルス・ルン・ポールは「東のプーチンと西のトランプから挑戦を受けている」とし、「デンマーク王国を防衛しなければならない」として安全保障イシューを前面に掲げた。
ただし今回の前倒し総選挙には、フレデリクセン首相に有利な政治的計算が働いているとの分析が出ている。フレデリクセン首相は2019年に単独政権の発足で政権を握り、2022年に大連立の構成に合意して任期を続けてきたが、その後の世論調査で苦戦し、支持率低下に直面していたためだ。
とりわけ昨年11月の地方選挙では、フレデリクセン首相が率いる社民党が約100年ぶりに首都コペンハーゲンの市長職を明け渡し惨敗し、これに対する責任論でフレデリクセン首相は辞任圧力に追い込まれた経緯がある。
しかし今年に入り、ドナルド・トランプ米国大統領がデンマークの自治領であるグリーンランドの併合可能性を示唆したことに対し、フレデリクセン首相が断固とした対応を展開し、支持率は反騰基調を示した。フレデリクセン首相は「グリーンランドの主権は譲れない『レッドライン』だ」としてNATO(北大西洋条約機構)の結集を促し、これに対しトランプ大統領は「問題は交渉で解く」として一歩引く姿勢を取ったためだ。
専門家は、総選挙が前倒しされるほどフレデリクセン首相に有利な構図が形成され得ると予測した。デンマーク国際問題研究所(DIIS)のミケル・ルンゲ・オーレセン研究員は「いずれにせよ間もなく選挙を行う必要があったのなら、トランプに対抗したという記憶が鮮明なときに実施する方が有利だ」と評価した。
フレデリクセン首相は、社民党が第1党の地位を失った場合に辞任するかどうかについて具体的に言及しなかったが、現時点での前倒し総選挙は与党に相対的に有利だというのが専門家の見方だ。
コペンハーゲン王立デンマーク防衛大学院のヨン・ラベック・クレメンセン教授も「典型的な『国旗結集効果(rally-around-the-flag effect)』が現れた」とし、「グリーンランドのイシューが盛んな時期に選挙を行うことは機会主義と映る危険があり、逆にあまりに遅い時期では戦略的利点が失われただろう」と説明した。