ウクライナとの戦争を4年目で続けるロシア経済に停滞の警戒灯がともった。軍需・防衛産業の急拡大に支えられ欧州平均を上回る成長率を記録してきたが、戦時特需に依存してきたロシア経済が構造的限界に直面したとの評価が出ている。
最近ロシアの零細事業者の負担は大きく増えた。ロシア政府が法人税引き上げと個人所得税の累進税導入に続き、今年1月から付加価値税(VAT)も20%から22%へ引き上げたためだ。さらに各種の税務申告義務まで強化された。物価急騰と高金利が続く状況で追加の税負担まで重なり、収益性が悪化している。
25日(現地時間)フランスの日刊紙ル・モンドは、モスクワ郊外でベーカリーを運営するデニス・マクシモフが最近のロシア経済の困難を象徴する人物として浮上したと報じた。店名にちなんだハッシュタグ「#나는마첸카다(私はマチェンカだ)」がソーシャルメディア(SNS)で拡散し、小規模事業者の共感を広げている。
マクシモフは昨年12月に開かれたウラジーミル・プーチン露大統領の年次記者会見兼「直通ライン」行事で直接苦情を訴え、大統領の介入で破産は免れた。しかし多数の小規模事業者は依然として税金と費用上昇、消費萎縮という三重苦に苦しんでいるとル・モンドは伝えた。ロシア各地では飲食店やカフェの閉業が相次ぎ、商業施設の賃貸案内も増える傾向だ。
ロシア政府が税収拡大に動いた背景には急増した国防費がある。ル・モンドによると、2025〜2027年のロシア国防予算は約30%増加し、全体予算の約40%を占めている。軍事費支出は国内総生産(GDP)の約7%水準と推定される。
一方、国家財政の中核だった石油・ガス収入は国際価格の下落と西側の制裁の影響で減少傾向を示している。制裁を回避して輸出しても割引販売が不可避で収益性が低下する状況だ。ル・モンドは、2026年のロシア財政赤字がGDPの3.5〜4.4%に達するとの見通しを伝えた。
戦争初期のロシア経済は軍需産業の拡大に支えられ高い成長率を維持した。2023年と2024年にはそれぞれ約4%成長し、ユーロ圏平均を上回った。しかし昨年の成長率は1%へと鈍化した。国際通貨基金(IMF)は2026年のロシア経済成長率を0.8%に下方予測し、1四半期の技術的リセッションの可能性も提起した。
高金利基調が長期間続く点も重荷と指摘される。ロシア中央銀行はインフレ抑制のため政策金利を一時20%前後まで引き上げた。足元で15.5%へ引き下げたが、依然として企業と家計の借入負担は大きい。一般の貸出金利は18〜19%に達し、投資と不動産市場の回復を制約しているとル・モンドは指摘した。
消費指標も悪化している。新車販売は昨年38%急減し、今年に入っても減少傾向が続いている。実質消費の増加率は事実上ゼロ水準だ。公式の物価上昇率は5%台半ばだが、体感物価はこれより高いとの評価が多い。専門家は「戦争は初期に経済を刺激したが、長期化でむしろ成長基盤を侵食している」と分析した。