ドナルド・トランプ米国大統領がイランに対する限定的な打撃など軍事オプションを検討しているなか、対イラン作戦は先のニコラス・マドゥロ・ベネズエラ大統領の身柄拘束よりも難度が大幅に上がるとの見方が出ている。
21日(現地時間)の米ニューヨーク・タイムズ(NYT)によると、米国がイランを相手に軍事作戦を展開した場合、衝突が長期戦に発展する可能性が高いことが示された。イランが強力なミサイル戦力と地域内の友好勢力、強固な神権体制の権力構造を備えており、短期間の作戦だけでは制圧が不可能だという指摘である。
実際にイランは中東で最大かつ多様なミサイル戦力を持つ国家と分類される。射程最大435マイル(約700km)の短距離ミサイルと1240マイル(約1995km)の中距離ミサイルを幅広く保有しており、これはトゥルキエ西部の米軍基地からイスラエル、湾岸6カ国までを射程に収める。ドローンと対艦ミサイルも備えており、最近ではホルムズ海峡で射程93マイル(約150km)以上の海上発射型防空ミサイルを初めて試射したと国営メディアが報じたことがある。
とりわけイランが保有する中・短距離ミサイルは米軍基地に加え、湾岸諸国とイスラエルまでを射程に入れている点で、衝突が周辺国へ波及する可能性も排除できない。英シンクタンク、チャタムハウスのサナム・バキル博士は「イランは紛争を迅速に拡大し、複数の戦線へ不安定化を広げ、費用と苦痛を広範に分散させるだろう」との見通しを示した。先に米軍基地を置くサウジアラビアとアラブ首長国連邦が、米国がイランを攻撃する場合、自国の領空を開放しないと表明したのもこのためだ。
イランが築いてきた同盟勢力である「抵抗の枢軸」も変数として作用する見通しだ。米国のイラン侵攻直後に、イエメンのフーシ派やレバノンのヒズボラをはじめとする親イラン勢力が同時多発的な対応に出る可能性があるということだ。実際にイラクの親イラン武装組織カタイブ・ヒズボラは、米国のイラン攻撃時に自爆テロなど、いわゆる「殉教作戦」を展開することを示唆したことがある。フーシ派が2023年末のイスラエル・ハマス戦争当時と同様に紅海の船舶を無差別に攻撃する可能性も指摘される。
経済的な波及も一段と深刻になるとみられる。イランが世界の原油および液化天然ガス(LNG)物流の約20%が行き交うホルムズ海峡を封鎖する場合、国際エネルギー価格が急騰しうるためだ。同海峡の公式航路は幅が各2海里(約7.4km)水準で、19日にイラン革命防衛隊海軍は海峡でロシアと連合軍事訓練を実施し、警戒態勢に入ったと伝えられた。
国際紛争シンクタンクである国際危機グループ(ICG)のアリ・バエズ・イラン担当局長は「イランの場合、低コスト・短期的な軍事オプションは存在しない」と述べ、「米軍側に人的被害が発生する実質的なリスクがあり、衝突は全面戦争とグローバル経済への衝撃につながる」と説明した。
これを受け、ホワイトハウス内でもイラン攻撃を思いとどまらせる声が相次いでいる。先にロイターはホワイトハウスのある高位補佐官を引用し、共和党の選挙ストラテジストと内局の補佐陣は、トランプ大統領がイラン問題に没頭した場合、11月の中間選挙で惨敗しかねないとの懸念を示していると報じた。