春節(中国の旧正月)連休を起点に、中国の生成型人工知能(AI)市場がアリババとバイトダンスの二強独走体制へ再編されたとの見方が出ている。業界首位を守ってきたバイトダンスの大規模言語モデル(LLM)「豆包(ドウバオ)」を、アリババの「Qwen(中国名・通義千問)」が発売から80日余りで肉薄し、AI群雄割拠の時代が終わり、アリババとバイトダンスの「二強」時代に入ったとの分析である。
19日、中国のテック専門メディア36krによると、アリババのQwenは今月初め、日間アクティブユーザー数(DAU)7352万人を記録した。発売82日で、バイトダンスの豆包が1000日かけて積み上げた記録(DAU7871万人)に迫った格好だ。とりわけ6日、アリババが春節を前に300億元(約6306億ウォン)規模の「現金ばらまき」マーケティングを開始した直後、QwenのDAUは従来の1000万人未満から急増し、爆発的に伸びた。
アリババとバイトダンスの生成AIサービスは、それぞれ異なる領域を掘り下げている。まずQwenは「ライフスタイルAI」を標榜する。アリババグループ内のECと物流のエコシステムを統合し、ショッピングから決済、地図、モビリティ、旅行まで、自社の実生活サービスとQwenを連動させ、AIが直接注文と決済を実行できるようにした。36krによれば、春節期間中にAIを通じた注文件数は1秒当たり300件を突破し、利用者は8億人に達した。
一方、豆包は「コンテンツ創作ツール」としての機能を強化している。今月12日、テキストや画像などを入力すると1分で高画質動画を生成するAIモデル「Seedance 2.0」を公開し「Seedanceショック」を引き起こしたのに続き、13日には画像生成モデル「Seedream 5.0ライト」を公開した。豆包の画像・動画生成モデルは、個人クリエイターや企業のコンテンツ制作コストの削減を目標とする。バイトダンスが運営する中国を代表するソーシャルメディア(SNS)「抖音(中国版TikTok)」とのシナジーも狙う。
中国の大手IT企業の多くがAI競争に参入するなかで、アリババとバイトダンスが二強として地位を固めた背景には、両社独自の巨大な利用者エコシステムがある。アリババの決済プラットフォーム「アリペイ」は10億人の利用者、ショッピングプラットフォーム「タオバオ」は8億人の利用者を抱え、バイトダンスの抖音は利用者が7億人に達する。
現地メディアは、今後の中国におけるAIモデル競争の勝負所はサービスの利用頻度にあると分析した。アリババQwenが短期間で爆発的に成長した背景には「現金ばらまき」マーケティングだけでなく、利用者のAI体験を単なる対話ではなく実際の消費へと引き込んだことが奏功したため、必要な時だけ使う一時的なツールを超え、日常生活の中の必須ツールとして定着しなければならないという説明である。
36krは「中国のAI市場は実質的な価値創出の段階に入った」とし、「この競争の観戦ポイントは、誰がより多くのDAUを記録するかではなく、誰がより利用者の日常の奥深くに入り込み『切っても切り離せないAI』になれるかにかかっている」と述べた。