米国の通商政策を総括するジェイミソン・グリアー通商代表部(USTR)代表が就任以降に推進した報復関税措置をめぐり「成功した結果」だと自評し、今後も強硬な基調を維持する意向を明確にした。
グリアー代表はとりわけ米国の鉄鋼産業とアルミニウム産業の復活を根拠に挙げ、関税障壁が米国経済に実効性の高い利益をもたらしたと強調した。同時に、関税戦の過程で企業が背負う過度な行政負担は軽減するという柔軟な運用の可能性も示した。これは保護貿易を単なるスローガンではなく、実質的な製造業復元の手段として活用する戦略と解釈できる。
グリアー代表は17日、米国CNBCのインタビューで、トランプ大統領が実施した関税政策が米国内の金属産業を事実上再建したと評価した。とくに2025年の米国鉄鋼出荷量が前年より約3億メートルトン(MMT)ほど増加し、日本の生産量を上回ったという数値を成果の根拠として示した。続けて「新たな鉄鋼生産ラインが稼働を始め、アルミニウム精錬所の建設計画が相次いで発表される現状が、政策の正しさを証明している」と主張した。かつて衰退していた米国製造業が、関税という防波堤の下で再び活力を取り戻しているという見方である。
ただし政策を執行する過程で生じる副作用については調整の可能性を開いた。グリアー代表は、鉄鋼とアルミニウムそのものに課す関税のほか、これらを原料とする洗濯機や冷蔵庫といった派生製品に付く関税の算定方式が過度に複雑だと認めた。企業が関税順守のために追加人員を採用し、事務作業に偏重するあまり本来の経営活動に支障をきたす状況を放置しないという意味だ。グリアー代表は、企業人が細かい数字を数える作業に埋没しないよう、コンプライアンスの在り方を合理的に整える必要があると述べた。
グリアー代表によれば、報復関税は相手国を交渉のテーブルに引き出す強力なてこにもなった。グリアー代表は、最近インドが米国産工業製品に課していた13.5%の関税を電撃的に撤廃し0%へ引き下げることで合意した事例を代表的な勝利として挙げた。台湾と締結した相互通商協定や、バングラデシュ、グアテマラと進行中の交渉も、関税という圧力手段があったからこそ可能だったとの分析だ。通商相手国に市場アクセス権を与える代わりに、米国が望む条件を取り付ける実利的な取引が本軌道に乗ったことを示唆する局面である。
米国内で懸念される物価上昇圧力については、きめ細かな例外条項を別途設ける方式で対応している。グリアー代表は、米国内で生産せず自給が不可能なコーヒー、ココア、バナナといった農産品目は既に関税免除措置を講じたか、検討中だと明らかにした。これは、関税政策が無差別の障壁構築ではなく、米国内産業の保護と消費者物価の安定を同時に考慮し、精緻に設計されていることを強調する意図とみられる。貿易戦争が生活に及ぼす打撃を最小化しつつ、製造業の覇権は手中に収めるという二面戦略である。
続いて、報復関税に関する司法的不確実性という難所に対し、グリアー代表は正面突破の意思を固めた。米連邦最高裁は20日、関税賦課の根拠法令である国際非常経済権限法(IEEPA)の適法性について判断を下す予定だ。グリアー代表は三権分立の原則に従い司法判断を尊重するとしつつ、仮に司法がブレーキをかける場合に備えた代替手段、いわゆるプランBを用意していることを示唆した。いかなる法的結論が出ようとも、トランプ政権が公表した関税政策の基調は揺るがず推進されるという強い警告を、市場と国際社会に発した格好である。